穴場紹介❾仲町台のジャズ喫茶

久しぶりの連載「穴場紹介」は、仲町台(横浜)にあるジャズ喫茶「TOMMY’S BY THE PARK」のご紹介です。

ジャズ喫茶を扱った記事としては、岩手のベイシー、京都のYAMATOYAにつぐ3店目。開店から50年以上の他2店と比較すると、TOMMY’S BY THE PARKは開店12年と歴史は浅いのですが、いまや知る人ぞ知る話題の店となっています。

穴場紹介❹ジャズ喫茶ベイシー
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京都とジャズ❷創業51年のジャズ喫茶
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今回、取材させていただいたTOMMY’S BY THE PARKは、港北ニュータウン(横浜市)の仲町台駅にあります。横浜でジャズ喫茶やジャズクラブが多い関内駅(1926 年開業)や白楽駅(1964年開業)と比較すると、仲町台駅は1993年の開業。まだ30年くらいの新しい町です。

港北ニュータウンが開かれる以前(第1区のオープンは1990年)は、横浜の都会なイメージとは程遠い、雑木林や田畑が広がる長閑なエリアでした。1993年に地下鉄ブルーラインが開業し、仲町台駅/センター南駅/センター北駅が出来てからは、新しい都市計画に基づき、お洒落な町へと変貌を遂げてゆきました。TOMMY’S BY THE PARKがある仲町台も、町の機能がコンパクトに駅周辺に集中していて、徒歩圏内で豊かな生活を楽しめる街になっています。

ではまず、私の独断になりますが、TOMMY’S BY THE PARKの特徴を挙げさせてください。

◼️特徴1:街の雰囲気とお店の佇まい

店の前が桂(カツラ)という街路樹の並木道。桂はハート型の葉が特徴の、柔らかい表情をした樹種です。TOMMY’S BY THE PARKは、この街路樹通りに面していて、すぐ近くに店名の通り公園があり、間に綺麗な小川が流れています。

◼️特徴2:店主・和田さん

なんといっても、和田さんのお人柄が魅力のお店。店の雰囲気とともに、「(ジャズはあまり詳しくないけれど)、私もココにいて大丈夫そう」と、和田さんが安心感を醸し出してくださっているところが、このお店の最大のポイントです。

◼️特徴3:ファン層(多くは近隣の皆さん)の雰囲気

立地上、お客の殆どを近所の方々が占めるお店。ライブ時だけの印象ですが、ゴリゴリのジャズリスナーはさほど多くなく、純粋に時間や空間を楽しみにいらっしゃっている印象です。ちょっと羨ましい。

◼️特徴4:演者と観覧席の距離

関内のクラブにも何軒か、ステージと客席との距離が近いところがありますが(上町63、JAZZY AFTER HOURS、大島コーヒー店など)、その中でもこのTOMMY’S BY THE PARKは最強クラスと言えるでしょう。

TOMMY’S BY THE PARKの月1ライブは、公平性を期す配慮から、入店時にクジを引いて座席が決まるシステム。私はクジ運に恵まれ、カブリツキの座席で何回か観覧させてもらいました(下記は前半ステージは2番席、後半ステージは35番席という意味です)。

クジ運良ければ、手を出せば触れられる距離なので、演者の細かい手先・指先・足先の動きから、顔の表情や唸り声まで、全ての表現をカラダ全体で受けられる感じ。音源で聴くジャズでは得られない価値があります。

◼️特徴5:独特のキャスティング

店主・和田さんのこだわりが感じられるキャスティング。まんまと企画に乗せられて、足を運びたくなってしまう。毎日ではなく、月1開催という特別感も影響しているのかもしれません。

以上がTOMMY’S BY THE PARKに対する、私の印象5点です。

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さて折角なので、前振りはこれくらいにして、店主の和田さんにお話を聞いてみたいと思います。和田さん、宜しくお願いします。

◼️(店主・和田さん)今どきジャズ喫茶なんて止めときなさい

「2002年4月から仲町台で暮らしていたので、職住接近のジャズ喫茶として開店、当初はジャズのライブをやる積りもありませんでした」

「仲町台はヨーロッパの街並みを意識、港北ニュータウン内の公園を巡る遊歩道に続く私の店の前の並木道などがあり、お洒落な街並みと思いますが、今時はやらないジャズ喫茶ということから集客にずっと苦労しています」

「開店後に何人かからジャズ喫茶開店の相談を受けましたが、採算が取れなくても道楽として行えるケース以外は『商売としてジャズ喫茶を続けるのは難しいので、お止めなさい』と道楽店主は諭しています(苦笑)」

◼️ (店主・和田さん)米国駐在時代のジャズ体験

「1988年4月から1993年3月までサンフランシスコに駐在していたので、まだ現役で活躍していたJazz Giantsの演奏を楽しみました。ギタリストでは、Joe Pass、Charlie Byrd、Barney Kessel、Herb Ellis、George Benson、Bruce Formanと言った面々です。ただ日本のバブル期で仕事も、カリフォルニア州に加えオレゴン州、ワシントン州、ハワイ州に点在する日系企業を広域で担当していたので滅茶苦茶忙しく、ジャズフェスなどせっかく買ったチケットも随分無駄にしました」

「サンフランシスコ駐在の前の1984年に海外研修生として数か月全米各地を訪問する機会があり、昼間の研修は真面目にこなし、夜のジャズ研修も堪能しました。初めて行ったVillage Vanguardで当日が初出演のStanley Jordanのタップ奏法にビックリしました」

「サンフランシスコ駐在時代と海外研修生でのジャズ体験は、ジャズ喫茶巡りの猛者を含む様々なお客さまとの会話の際に役立つジャズ喫茶店主の貴重な財産です」

◼️ (店主・和田さん)ライブの主目的は若手応援

「月に1回のジャズライブは、私が見込んだ若手の応援を主目的にしています。今回の井上智さんと平田晃一さんのデュオのように若手と実力者の組み合わせが多いと思います。ミュージシャンを選ぶ際には、演奏の腕前は当然として人柄がしっかりしているかどうかを見ています」

「月1ライブは、2018年から始めました。ジャズライブのお客様は、①ジャズライブ以外にもジャズ喫茶の常連さんとして来てくださる近隣の方々、②ジャズライブのみのお客様、③ジャズ好きの店主の友人、知人にザックリ分けられます」

「①の方が人数的には一番多く、ジャズについては初心者レベルの方が多いと思いますが、目の前で演奏される当店ライブを気にいっていただいています。②の方々は珈琲も飲みに来て!!とライブの度にお願いしていますが、効き目無し。6月から開店以来12年間据え置いた珈琲代を100円値上げしました。割安設定のライブのチャージも見直しが必要なので、②の方が①に比べ少し割高になるようチャージアップしようかと企んでいます」

◼️ (店主・和田さん)ギタリストアルバムだけでも500枚以上

「ジャズギタリストのアルバムも、ザっとですが500枚位あると思います。ジャズ喫茶として店の雰囲気を和らげる目的でジャズギターのアルバムを流すことがあります」

「日本のライブに通い出したのは、開店してからの8年前からなので、数多のギタリストの極一部の方しか聴いていません。乱暴な言い方になりますが、ジャズのスタンダードやボサノバなどが中心(日本のお客様が求めるが故でしょうが)という印象です。もっとコンテンポラリーを主戦場にしてNYでも通じる若手が出てくると良いと思いますが・・・商業ベースで考えると日本ではなかなか難しいでしょうね・・・この数年でライブを聴いて、コンテンポラリー系で「お、凄い!!」と思ったのは小橋拓弥さんだけです)」

(参考)小橋拓弥「IMAGINARY STORY」
 amazon https://amzn.to/4gbKcIo

田中(編集者):散歩も兼ねて、コーヒーと音楽を楽しみに、ぶらりと立ち寄れたら、素敵な時間が過ごせそうです。お店にあるギター入りのアルバムの中から、お勧めをご紹介ください。

和田さん:ミュージシャン一人につき1枚のアルバムを選びますね。
・Full House / Wes Montgomery
 amazon https://amzn.to/4eAmMLz

・A Night At The Vanguard / Kenny Burrell
 amazon https://amzn.to/4ey7HKm

・The Poll Winners Ride Again / Barney Kessel
 amazon https://amzn.to/4eIfrIw

・Friday Night In San Francisco / Al Dimeola, John McLaughlin, Paco Delucia
 amazon https://amzn.to/4y5aDWm

・Live!/ Jim Hall
 amazon https://amzn.to/4anW2eF

・Fitzgerald & Pass, Again
 amazon https://amzn.to/4ezYiSx

・Idle Moments / Grant Green
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・Question And Answer / Pat Metheny
 amazon https://amzn.to/4oRppft

・A Moments Peace / John Scofield
 amazon https://amzn.to/4ezEnTV

・Lean In / Gretchen Parlato & Lionel Loueke
 amazon https://amzn.to/3QOT38l

・What Comes Next / Peter Bernstein
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・Herbs, Fruits, Balms And Part / Jesse Van Ruller
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田中(編集者):お恥ずかしいことに、何枚か未聴のアルバムがあります。ライブでない日に、お店に聴きに行かないとですね。。

以上、店主・和田さんのインタビューでした。

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◼️TOMMY’S BY THE PARK

横浜市都筑区仲町台1-33-21 アルス仲町台せせらぎ公園弐番館
045-507- 8871
11:30-18:00(ただし火曜日は11:30-15:00)、水曜定休
https://seseragi-jazz.com/

・開店 2014年5月29日
・約6,000枚のJAZZ CDコレクション
・アンプ:McIntosh MA9000、スピーカー:JBL 4365
・CDプレーヤー:Denon DCD-SX1

・珈琲:自家焙煎豆「TERRA COFFEE and ROASTER」(横浜)使用、ハンドドリップ

・店主:和田知行(わだともゆき)さん Mail:tommy-wadawish.ocn.ne.jp
「お店でお待ちしています。『ジャズギター寄り道ノート』を見たと言って声掛けしてください」

◼️最後に(編集者から)

もし読者の方が、仲町台の近隣/沿線にお住まいの羨ましいご身分であれば、散歩がてらTOMMY’S BY THE PARKに通ってみる価値あります。

また、通いが叶わぬ皆さんは、お店のライブ情報をチェックして、気になる企画に足を運んでみてください。ちなみにチケットは、売り出し早々で完売になってしまうので、こまめにチェックが必要です。

私の自宅にはJBL4428を軸にオーディオシステムを組んであるのですが、近所への気遣いから大きな音を出せず、巨大なただの箱と化しています。そんな事情もあって、ゆったりと音楽と珈琲を楽しめるTOMMY’S BY THE PARKのようなお店が、心底、徒歩圏内にあって欲しい。しかしながら横浜の山岳地帯こと保土ヶ谷界隈では、マーケット的に経営が成り立たちそうにありません。

ジャズの横浜という旧時代からの固定観念に乗らず、独自のスタイルで素敵な空間を成立させているTOMMY’S BY THE PARK。和田さん、これからのライブ企画を楽しみに、また仲町台に足を運ばせてください。ご多忙ななか、取材のご協力ありがとうございました。

(ご案内)xにて記事の新着をお知らせしています。https://x.com/jazzguitarnote

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