台湾在住のピアニスト島さんに聞く「台湾とジャズ」のご紹介。
第1弾では概況や歴史について、お聞きしました。HP
第2弾では演奏家を中心に、お聞きしました。HP
連載の最終稿となる今回は「台北でのセッション参加」をテーマにしたいと思います。
◼️台北はジャズスポットの集積地
【田中】連載最後の記事になります。今回は地域を絞って「台北」についてお聞かせください。やはり台湾のジャズは台北に集中しているのでしょうか。

【島】台北は台湾の中では特別で、とてもたくさんのジャズスポットがあります。定期的にライブ活動を行っているライブハウス、週に一度程度ライブを行うカフェやレストラン。これらを全部数えると30軒以上になるでしょう。
しかし、これは僕がジャズファンだから知っているのであって、普通の台湾の人達が、或いは日本の駐在員がこれらのジャズスポットを詳しく知っているわけではありません。一般の人は、Blue Note Taipei や Sappho(サッフォー) の名前を聞いたことがあるという程度だと思います。
【田中】なるほど。私が住む横浜も、ジャズの町と謳いながら、実は同じような状況かもしれないですけど(苦笑)。
【島】うふふ。まあそんな訳で、台北のこれらのお店はジャズファンは知っているが、普通の人は知らないということがほとんどです。コアなジャズファンとお店の常連客で経営が成り立っているのだと思います。
◼️毎年10月には台北でジャズフェス開催
【田中】ジャズフェスのようなイベントもあるのですか?
【島】ジャズに特化した地域イベントは、台北市と台中市の行っているジャズフェスティバルがあります。どちらも毎年10月に、1ヶ月ほどのスケジュールで屋外のオープンステージ、大小様々なライブスポットなどで、国内外のビッグバンドやコンボバンドを交えて行う大規模なものです。日本からの客演バンドが演奏することも少なくありません。去年の台北のジャズフェスティバルには、エリック宮代が参加していました。


【田中】開催期間1ケ月というのは長いですね。その時期に合わせて、改めて台湾に行ってみたいです。
【島】是非。台北のジャズフェスティバルでは、輔仁大學(Fu Jen University)でジャズを教えている李承育(Cheng-Yu Lee)が音楽ディレクターを務めていることから、毎年異なったテーマを定めて、若いミュージシャンを中心に面白い試みをしています。去年は台北市の”台北市立動物園”でマーチングバンドの演奏を行っていました。
◼️楽器調達は日本がおすすめ
【田中】台北の楽器店は充実していますか?
【島】台湾の楽器店は日本ほど商品のラインナップが揃っているわけではありません。普通の楽器店で置いてある楽器はギターばかりで、ピアノやシンセサイザーはほとんど置いてありません。YAMAHAの特約店である”功學社”では、クラシックのミュージシャンのためのアップライトピアノや管楽器、弦楽器などは置いてあります。その他、アコーディオンやサックス、管楽器の専門店を見たこともあります。
【田中】かろうじてギターは入手可能と。
【島】はい。ただ、台湾では、大多数の楽器を外国から輸入しているので、関税と輸送費がかかり、いずれもとても高価なものになります。僕はYAMAHAの電子ピアノを台湾で買おうと考え金額の比較をしたのですが、同じ商品が台湾で買うと日本の2倍近くの値段になっていました。それで、日本に帰国の際に電子ピアノを買って、飛行機で持ち込んでいます。
◼️フレンドリーな台北セッション
【田中】島さんはnoteでセッションスポットをご紹介されていますね。とても貴重な情報源です。
「台湾のジャムセッションスポット(2026年)」
https://note.com/hiroyuki_shima/n/n1adc6e0cfb76
【田中】台湾におけるセッションの雰囲気は如何ですか?
【島】台湾のジャムセッションはとてもフレンドリーで参加しやすいと思います。敷居はとても低く設定されています。基本的に来るものは拒まずです。そして特徴的なのは、たくさんのライブをこなしている一線級のミュージシャンもジャムセッションに加わることが多いこと。プロもアマチュアも一緒にジャズを楽しんでいます。
【田中】日本と比較して参加システムに違いはありますか?
【島】例えばSapphoですとミュージックチャージは200元、ミニマムオーダーは1セット当たり飲み物一杯となっています。Jazz Spot Swingでは、ミニマムオーダー550元となっています。この程度の金額なのでとても気軽に参加できます。
【田中】言葉の面など不安がありますが。。
【島】言語については、大部分のジャムセッションスポットで日本語は通じません。英語であれば問題ありません。セッションホストがアメリカ人やカナダ人であることもよくあります。
Jazz Spot Swingだけは、日本人マスターのオルガニスト桑原さんがやっているお店なので、日本語が通じます。このお店は、日本人のアマチュアジャズミュージシャンの溜まり場になっています。

【田中】セッションの開催スケジュールはどうやって確認したらよいでしょう?
【島】僕のnoteの記事に書いたジャムセッションの予定はあくまでも現状のものなので、実際に行くのであれば、記事(下記)に貼ってあるHPアドレスで、お店のアナウンスを確認するのが良いです。特別なライブが入っていたりする可能性もあります。
「台湾のジャムセッションスポット(2026年)」
https://note.com/hiroyuki_shima/n/n1adc6e0cfb76
◼️おすすめスポット「Sappho」「Jazz Spot Swing」
【田中】島さんオススメのセッションスポットはありますか?
【島】ジャムセッションでのおすすめは、何といってもSapphoです。週のうち火曜と水曜は9時から、金曜と土曜はライブが終わった後の11時半からジャムセッションを行なっています。ミュージシャンも皆素晴らしい人ばかりで、僕はこのお店は台湾ジャズのメッカであると考えています。アマチュアミュージシャンも歓迎してくれますので、遠慮なく参加して構いません。日本人ミュージシャンを見ることもよくあります。
https://www.facebook.com/sappholivejazz


【島】日本語で気軽に参加したいということでしたら、Jazz Spot Swingがおすすめです。このお店では、現在では水曜と木曜に台湾人ピアニストのホストによるジャムセッションを行っています。それ以外の日は、マスターの桑原さんがホストとして演奏してくれます。僕も月に数回Swingに出没しています。
https://www.facebook.com/search/top?q=jazz%20spot%20swing

【島】ヴォーカルであれば、RhythmscapeとDixielaneのジャムをおすすめします。どちらもヴォーカリストがMCを務めており、ヴォーカルフレンドリーな雰囲気です。
https://www.facebook.com/search/top?q=%E4%BA%AB%E8%B1%A1rhythmscape
https://www.facebook.com/dixielane117
◼️是非ジャムセッションに参加を
【田中】フレンドリーに迎えてくれそうですし、台北旅行のついでに、セッションに興味を持つ方もいらっしゃいそうです。
【島】台湾の文化は、戒厳令の時代にとても抑圧されていたものが、政治の民主化と軌を一にして自由に花開いている、今現在、様々なことが勃興期/発展期にあるのだと考えています。台湾のジャズシーンもそうです。とても若いミュージシャン達が、アメリカとヨーロッパの風を呼び込んで、新しい音楽を創り出そうとしている。そんな若々しさとエネルギーを感じています。
【島】僕は、そんな若いジャズミュージシャンの友達がたくさんできたので、彼らの音楽活動を日本人にも知ってもらいたいと考えて、様々な日本語での情報発信をしています。FBでの”台湾ジャズ指南”や、noteでの投稿です。ぜひ皆さんも台湾に来て,彼らの音楽を聴き、ジャムセッションで一緒に演奏してみてください。彼らのホスピタリティーで、とても楽しい時間を過ごすことができるでしょう。
https://www.facebook.com/groups/576457089563845/
https://note.com/hiroyuki_shima

【田中】読者の皆さんにも、島さんの記事、是非覗いてみて欲しいです。
【島】ジャムセッションでは、皆日本人ミュージシャンのことを歓迎してくれることでしょう。台北に来る際は、僕に連絡をしてもらっても構いません。普段、週に2回ジャズライブに足を運んでいますので、その際に同行することもできますし、時間が合わなければおすすめのライブを紹介することもできます。ジャムセッションにお連れすることもできます。皆さんも、台湾に来てこの国のジャズの息吹を感じてみてください。
◼️訪問記録
【Sappho】島さんのお誘いで、Resonance5というフルートとバイオリンのツインリードによるクインテットのライブを観覧することができました。ゴリゴリくるビートとか、難解な音使いとか、とかくマニアックな音楽になりがちなジャズとは大きく異なる、心地よく和めるアンサンブル。海外修行してこられたメンバーも多く(僭越ながら)演奏レベルは高かったです。店員もお客もお互いの気遣いが感じられ、演奏者との一体感もあって、居心地が良い。普段、ジャズをあまり聴かない同行の日本からの友人たちも大変喜んでました。旅行仲間を誘っての夜遊びにも最適なお店かと。タイミング良ければ、ライブ後セッションで島さんとの共演も実現できるかも。


【Jazz Spot Swing】私は伺えなかったのですが、知り合いの娘さん達4名が島さんのお誘いを受けて遊びに行きました。感想を聞いたところ「4、5人で演奏、小さめなお店に良い感じに音が響いてお洒落。隣の人と普通に会話できる音量」「この曲やりますか〜と一人が言って、せーので始まる気軽なジャズセッション。合図でソロ回しもする」「全員黒本に載ってる全曲弾けそうですごかったけれど、リズムキープしかできない初心者でも参加させてくれるアットホームな雰囲気、嬉しい」「ドラムはバチとブラシも貸してくれる。トロンボーンとトランペットもお店にある」といったコメント。ドラムを除いてブラスバンドの経験しかなかった3人の娘さん達も、折角だからと誘われるがまま加わって大団円な演奏になったんだとか。島さんも「前代未聞の盛り上がり」と仰っていましたが、それくらいのフレンドリーなお店のようです。


◼️連載「台湾とジャズ」を終えて(編集者から)
3回に渡っての連載「台湾とジャズ」は以上になります。もし少しでもご興味を持たれたら、台湾旅行と夜のジャズクラブ訪問を強くお勧めします。そして必ず島さんのnoteを事前チェックしておくこと。より充実した楽しいツアーになること、お約束します。
島さん、ご多忙ななか、事前の取材から当日のお付き合いまで、本当にお世話になりました。お陰様でアジアのジャズという新しい世界を垣間見れた気がします。また伺わせてください。ありがとうございました。
(ご案内)xにて記事の新着をお知らせしています。https://x.com/jazzguitarnote