今日5月16日は、私が教祖と仰ぐミュージシャン、Chuck Brownの命日(2012年に75歳にて没)です。彼はワシントンDC発祥のファンク「ゴー・ゴー」の生みの親(The Godfather of Go-Go)として崇められ、地元では世代を超えて熱烈な支持を集めていました。
ゴーゴーはファンクの一種です。そして、ロックンロールの名曲ジョニー・B.グッド「ゴーゴー ゴージョニゴーゴー」のチャックベリーと、チャックブラウンは全くの別人です。念のため。
Go-Goについては、説明するより聴いたほうが早いので、ご存知ない方のために、何曲か掲出しておきます。
Chuck Brown & Soul Searchers “Harlem Nocturn”
https://youtu.be/DYZ_v9EbJwg
Chuck Brown & Soul Searchers “Misty”
https://youtu.be/5cI3u43Zs_A
Chuck Brown & Soul Searchers “A Night in Tunisia”
https://youtu.be/AgMP6Vn8T9Y
■Chuck Brownとの出会い
下記は、私の音楽人生を大きく変えた、「白い教典」と呼ばれるライブ盤。
Chuck Brown & Soul Searchers “Any other way TO GO?” (1987 RHYTHM ATTACK)
彼の音楽に出会ったのは1990年頃だったかな。あまりの衝撃に、擦り切れるくらい、この白い経典を聴き込みました。毎日毎日、よく飽きないで聴いてたなあ。彼の音楽と出会えなかったら、私の音楽人生は全く違う方向に進んでいたでしょう。未聴の方は即買いです。
go-goの生ライブは、スタジオ収録とは違った独特の空気感に包まれています。ダサかっこいいgo-go特有のユルいリズムがノンストップで刻まれる中、Chuck Brownがチャカポコとギターを弾き、ダミ声で歌いあげ、キレとユルさが共存したホーンセクションが絶妙なリフを入れてくる。このCDは、うまくライブの雰囲気を捉えていると思います。なお決して、ジャズボーカルやジャズギタリストとして、他アーティストと比較しないでくださいね。
■DC訪問 回想録
2004年、ワシントンDCまで、単身アポなしで、Chuck Brownに会いに行った。
入国当日、夜中22時頃に郊外のナイトクラブ(Legend Restaurant & Night Club)に着いたら、何故か、お店は既に閉店して真っ暗。途方にくれて縁石に座っていたら、店の黒人スタッフが出てきて何者だ?と尋ねてきた。
「日本からChuckBrownに会いに来た。」と説明したら、黒人オーナーが出てきて「今晩はココでは演らない。別の会場で出演する予定だから、連れて行ってやる」と、車を出してくれることに。
行った先はハーレムにあるクラブ(名称・場所は不明)。天井高もあって200人くらいのキャパだったかな。入口で殺傷トラブル防止を理由にボールペンを没収され、デジカメの電池も抜かれた。
会場内は見事に黒人だけ。アジア人も、白人もいない。乱闘やダイブを防止するためステージ前全面に金網が張ってあった。不思議と怖い感覚は無かったけれど、お酒を買おうと迂闊にポケットから財布を取り出したら、黒人の女の子から「あなた、死にたいの!」と怒られた。
暫く若者たちの演奏が続き、真打登場って感じでChuckBrownが出てきた。時間は24時も回ってたと思う。会場が最高潮に盛り上がったところで「今日は日本からファンが来てくれてるよー」と、まさかの場内アナウンス。会場満杯の黒い人たちから注目を集めるなか、金網の中のステージ下まで呼び込まれ、チャックと会話することが出来た。
折角の機会も、胸がつまって御礼を言うのが精一杯。会場が煩くて、彼の言葉も聞き取りにくくて。でも彼が亡くなった今となっては、大切な思い出。
■謝辞
Legend Restaurant & Night ClubのオーナーKevin Schwappさん。突然訪ねてきた見ず知らずの日本人に、Chuck Brown教祖を引き合わせてくださったこと、深く深く感謝しています。手紙なんかじゃ御礼の気持ちが伝わらない、とお訪ねするつもりにしていたら、15年も経っちゃいました。改めてお伺いしたいです。
■Chuck Brownの命日に
あの頃、大切にしていたこと。少し疎かになってるかもしれません。時も経ってギターも少しは上達しているけど、ギターの腕とステージは別もの。Chuck Brownは70歳近くまで、エンターテイナーを貫いていました。見習わないとなー
スタンダード曲ツナガリであるものの、今回もまた、大きくモロジャズから外れ、寄り道な話になってしまいました。偉大なる教祖Chuck Brownの命日ということで、ご容赦ください。合掌。
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