教則本 棚卸 vol.23 名取さん Parkerに学ぶ本

久しぶりの棚卸です。

以前、井上智さんと高免信喜さんのインタビューで、智さんから、こんな話を聞きました。「ジム・ホールは『ギターばかり聴くな』と、よく言ってましたよ。管楽器ばかりのカセットテープをくれて。ベン・ウェブスターとか、レスター・ヤングとか、それにはテナーサックスばっかり入っててね。ジム・ホールは『実は、俺は単音のときは、サックスみたいに弾きたいんや』と言ってたな」

個性を磨く❶-1 井上智さん×高免信喜さん
https://jazzguitarnote.info/2022/03/15/personality-satoshi-takamen-1/

ついつい私はギター入りのライブや音源ばかりを追ってしまうのですが、他楽器からも無数の学びやヒントがあります。そんなことで、今回のテーマは「Charlie Parkerからバップを学ぶ」です。

◼️名取 穣一郎さんの教則本

私は毎月の課題曲を決めているのですが、今月はセッションでも指名の多い「MY LITTLE SUEDE SHOES/ CHARLIE PARKER」でした。で、ネットで参考音源を探したのですが、ギタリストで好みのものを探し当てられませんでした。

そして本家の音源を聴き直してみて「やっぱりCHARLIE PARKERはカッコいいなあ」と思ったところで、名取さんの教則本を思い出した次第です。

名取 穣一郎
TAB譜付ギタースコア
Charlie Parker Collection for Jazz Guitar
(参考演奏&マイナスワンCD付き)
amazon:https://amzn.to/4e8it8y

TAB譜に頼ることの是非論があることは承知しております。(TAB譜に頼らず)完全耳コピすることがどれ程有益なのかも、承知しているつもりです。がしかし、いつかやるぞ、と言って先延ばしするくらいなら、キッカケをもらいながら、好きなところからでも始めたほうが良いに決まってます。

ご紹介にあたり、執筆者の名取さんにコメントを頂きました。

◼️名取さんに聞く❶ テーマコピーの重要性

「テーマをコピーすることで、アドリブの基礎はもちろん、ジャズギターの基礎テクニック(クロマチックの使い方やリズムアプローチ)も同時に身につけられます」

「テーマはアドリブをするための『土台』になります。コード進行との関係やリズムの仕掛けを身体に染み込ませることで、曲への理解がグッと深まります。その結果、アドリブ中に現在地を見失うことがなくなり、その曲に合ったフレーズが自然と頭の中で鳴るようになるんです」

「とくにチャーリー・パーカーのテーマは、それ自体がアドリブ練習になるくらい完成度の高いものです。だからこそ、まずはテーマを完璧にコピーすることに大きな意味があるのです」

◼️名取さんに聞く❷ ビバップならではのリズム感

「ひたすらに、パーカーの音源と合わせて弾き、自分の演奏を録音して、本人の演奏と聴き比べる。この作業を何ヶ月もかけて繰り返してみてください」

「客観的に自分のリズムをチェックし、本家とのズレを修正していく地道な練習です。『どうすればパーカーと同じリズムで弾けるのか』を自分なりに突き詰めることで、ピッキングのタイミング、アクセントの有無、レガートの技術といった、ギター演奏スキルそのものも大きく磨かれていきます」

◼️名取さんに聞く❸サックスフレーズからのヒント

「呼吸の位置(フレーズの切り方)を覚えることです。ギターは息継ぎの必要がないため、音を詰め込んで延々と弾き続けることができてしまいます。管楽器奏者がどこでフレーズを区切っているかを再現することで、機械的な演奏から脱却し、より歌心のある自然なフレージングを身につけることができます」

◼️掲載/収録曲

掲載曲(20曲)は下記の通りです。❶❷マークは黒本の掲載曲。名曲の数々にParkerの凄さを改めて感じますね。

【ブルース編】
・BILLIE’ S BOUNCE ❶
・CHERYL ❶
・RELAXIN AT CAMARILLO ❷
・ BARBADOS
・PERHAPS
・ BLOOMDIDO
・ AU PRIVAVE ❶
・ K. C. BLUES
・ BLUES FOR ALICE ❷
・ CHI CHI

【リズムチェンジ編】
・ THRIVING FROM A RIFF
・ MOOSE THE MOOCHE ❷
・ AN OSCAR FOR TREADWELL

【スタンダード編】
・ YARDBIRD SUITE
・ ORNITHOLOGY ❶
・ DONNA LEE ❶
・ DEWEY SQUARE
・ SCRAPPLE FROM THE APPLE ❶
・ CONFIRMATION ❶
・ MY LITTLE SUEDE SHOES ❶

◼️仕様

「Charlie Parker Collection for Jazz Guitar」
著者:名取 穣一郎
出版社:ヤマハミュージックエンタテイメントHD
発売日:2015/12/21
仕様:菊倍判縦、128ページ、参考演奏&マイナスワンCD付き
amazon:https://amzn.to/4e8it8y

◼️名取穣一郎さんProfile

1980年、東京都生まれ。高校時代よりギターを始め、卒業後に渡米。L.A.のGIT(Musicians Institute)にてAllen Hinds、Scott Henderson等に師事。その後、ボストンのバークリー音楽大学(Berklee College of Music)に短期間在籍し、Bruce Saundersに師事。本格的にジャズの道へ転身する。帰国後は演奏活動のほか、自身の経験を活かしたジャズ・ギター教育に力を注いでいる。現在はHP「jazzguitarstyle.com」の運営を通じ、より実践的なジャズ・ギターメソッドの発信を続けている。

https://www.jazzguitarstyle.com

【著書】
「そのまま使える!! 至高のギター トレーニングフレーズ -ジャズ・アドリブ編- 」(2018改訂)
「Charlie Parker Collection for JAZZ GUITAR」(2015)
「聴くだけマスター! ジャズ・ギター・スケール」(2012)
「名曲を制覇! ジャズ・ギター徹底講義」(2005)

【読者の皆さんへメッセージ】
「ビバップは、一朝一夕で身につくものではありません。音源との聴き比べや録音の繰り返しなど、緻密な作業の連続です。ですが、パーカーのプレイを細部まで分析した時間は、自身の演奏の『確固たる基盤』になるはずです。焦らず、フレーズの呼吸や一音一音のニュアンスにこだわりながら、日々の練習を積み重ねていってください」

◼️最後に(編集者から)

名取さんのサイト「jazzguitarstyle.com」は貴重な情報の宝庫なのですが、パーカーの記事紹介に「バップにジャズのルーツはない」というコメントがあります。奥が深いですね。

ジャズ全般から見ると、ギターって、ちょっとメインストリームから外れた楽器のイメージがあるかもしれません。井の中の蛙とならずジャズギターを磨くためにも、枠内だけに捉われないようにアンテナを張り、視野広く吸収してゆきたいもの。今回の本は、そんな取り組みをサポートしてくれる1冊です。名取さん、ご多忙な中、取材ご協力ありがとうございました。

(ご案内)xにて記事の新着をお知らせしています。https://x.com/jazzguitarnote

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