今回は神戸在住の山田忍さんです。
その昔、山田さんが川崎から神戸に転居されるまで、長きに渡りご指導いただきました。当時のギター日記を読み返してみたら「練習不足に加えインプットが少ない、と指導あり」という記述が。確かに仕事を言い訳に、遅刻も頻発、予習復習も全く追いつかず、ダメ生徒の見本でした。当時教わった沢山のことも、時が経ち今になってようやく、その真意が分かることも多く、ホント、時間を取り戻せたらなあ。
では、山田さんにいつもの質問です。
■始められない時、集中できない時の切り札
学生時代はギターを持っている記憶しかないので参考になりませんが、最近はデイリートレーニング的な基礎練習以外は無理して弾かないようにしています。やる気がなくても、なんとなくギターを持って弾いている事は多いです。
どうしても始められない時は、逆にどんな時に無性に弾きたくなるか?を考えると良いと思います。私は生演奏を聴いた直後とか、これまでに購入した教本や自分で書いたノートを整理していると弾きたくなりますね。
■理論を実践に昇華させるには?
ジャズも幅が広くなっているので学習初期は理論から学ぶ方が習得が早いのは確かです。ただ、いきなり練習するのではなくて、「その理論がどのように使われているか?」をいつも音楽で確認することです。
理論は過去の偉大なアーティストが生み出してきたものを、理解しやすいように整理されたものです。私自身、学生時代はどの練習方法が正しいのか分からず試行錯誤の連続でした。上達には反復練習しかありません。という事は上達に必要な”失敗の数”があると考えます。こちらのブログタイトル「寄り道ノート」を初めて見た時、素敵なタイトルだと思ったのですが、回り道をしたから気付けることも多いですし、それが習得の過程だと気付けたら、楽しめるようになりますよ。
ある程度、弾けるようになったら理論は不要です。「この音、かっこいい!」と言い切れる自分を大切にしましょう。かっこいい音楽をスムーズに演奏出来るにしようと自身であれこれ考えた演奏論が、結果理論となっています。高度な理論書などは知識として読みますが、実践しないことがほとんどです。
■いまの自分を乗り越えるコツ(次にやるべきこと)
2つあります。1つは「10分程度の基礎の鍛錬」
コードトーンやプログレッションだけ考えながら弾く練習をしています。アドリブを演奏しない日はあっても、基礎練習を怠る日はあまりありません。毎日の歯磨きみたいなものです。自分の演奏はこれまでに培ってきた基礎の上に成り立っている事に気付いた時から、基礎練習をデイリートレーニングにしました。
もう1つは「3種類の創作」です。
- 「曲」は自分のために書くのですが、現時点での一番良いと思えるメロディやハーモニー、リズム、世界観を生み出すことが目的です。
- 次に「コードメロディ」既存のスタンダードのハーモニー付けですが、自分が知らない和音を最低1つは使用するのがマイルールです。
- 最後に「エチュード」短いラインや、ハーモニー、リズムのエチュードを作り出します。
今、この時点での”1番の自分”を絞り出していくことで、常に進化し続けられる気がしています。
■山田忍(やまだ しのぶ)
愛知県出身。幼少の頃よりピアノ、コルネットを学び、15歳の時ギターを手にする。AN MUSIC SCHOOLにて鈴木康允氏、直居隆雄氏、小嶋利勝氏に師事。在学中から都内、近県でプロ活動を開始し同校を特待生で卒業。不慮の事故により左手の指を骨折、手術。リハビリ後、単身カナダに渡る。在加中セッション・レコーディングを重ね、帰国後、海外とアーティスト達の日本ツアーに参加し活動を再開。またMESAR音楽院にて佐藤允彦氏にアンサンブルを師事。
2005年ジャズプロムナード・コンペティション本選出場。時代のニーズに合わせた「大人の音楽ドリル」などのオンライン教材を多数発売。ジャズギター講座Mistletoe Jazz Class(旧Cycle Of Jazz)を制作・運営。2009年 CD「Winter Tales」を発売。2013年より活動の拠点を神戸へ移し、Mistletoe Music School 設立。ライブハウス・ラジオ・テレビ・執筆など活躍しつつ後進の指導にあたる。温かく優しいメロディを大切にしつつ、常に新しい音楽へチャレンジしています。
Shinobu Yamada Official Web site https://shinobuyamada.com/
Jazz Guitar class https://mistletoemusicschool.com/blog/
Mistletoe Music School https://mistletoeguitar.com/
YouTube http://www.youtube.com/c/Mistletoemusicschool
Twitter https://twitter.com/jazzguitarsalon
Instagram https://www.instagram.com/mistletoemusicschool/?hl=ja
■最後に(編集者から)
最近、先を走るギタリストの方々から勧められるのは「書き譜ソロ」や「リズム無視のソロギター」です。昔から探究心無限大の山田さんは、さらにヒネリが足されている。
各ギタリスト推奨のアウトプットは微妙に異なりますが、共通していることは、いま自分の持っている抽斗を全て開けて、アタマで考えながらフレーズを組み立て、音にするトレーニングが重要である、ということ。
2016年に横浜のローカルホールにRoben Fordがワークショップに来てくれたことがありました。彼曰く「作曲は創るのでなく、探す感覚。時間を掛けて、コード進行を決め、フィーリングにはまる音を見つけていく」と。彼のレベルに達してもなお、自分の中の眠れるフレーズを引き出す努力をしている訳です。少しだけ雲上人との間が縮まった気がしません?
山田さん。久しぶりの連絡にも関わらず快諾ありがとうございました。関西出張にカコつけて、ご挨拶に寄らせて頂きます。ジャズの聖地・神戸のジャズギター界、これからも盛り上げてくださいねー
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