音づくりという迷宮❷川邉マナブさん

「音づくり」連載の第2弾は川邉マナブさんです。多くのギタリストにとっては「肉ジャギの方」という紹介のほうが馴染みがあるかもしれません。

ジャズギタリストの知りたいツボを押さえた肉じゃぎさんの動画に、お世話になった方も多いはず。そんな肉じゃぎさんに、今回は音づくりについて聞いてみます。川邉さん、宜しくお願いします。

❶自分の音「どんな楽器を使っても、結局は自分の音になる」

「いろんなミュージシャンを参考にしつつ、自分の好きな音を追求するのみ、な感じです。どんな楽器を使っても、結局は自分の音になると考えています」

「例えば、憧れているミュージシャンと同じ機材を使ったとしても全く同じ音にはなりません。好きなミュージシャンはたくさんいるのですが、そっくり真似るのではなく、なるべく『いい部分を取り入れる』ように心掛けています。寄せつつ、自分の弾き方にうまく反映させていく、という感覚で演奏しています」

❷道具や奏法「紆余曲折の末に現在に辿り着いた」

「私がおもにメインで使用しているのは、
・メインギターはGibson のES-175、
・メインのアンプはHenriksen製のもの、
・自作のシールドケーブル です」

「メインギターのES-175は1958年製のビンテージで『オリジナルPAF』というピックアップが搭載されています。X Japanからギターをはじめたので『いつかは絶対に欲しい』というオリジナルPAFへの憧れがあって買いました(PATAが使っていた1959年製レスポールについていた)。他にもいろいろギターを持っていますが、弾きやすいし、一番自分の好きな音が出せるギターです」

「アンプはいろんなアンプを試して、紆余曲折の末に現在のメイン(Henriksen)に辿り着きました。イコライザーの効きと柔軟性、クリーントーンの柔らかさなど、音質では最高です。私がアンプで音質以外に重視しているのが、
・持ち運び、携帯性
・音量
で、できるだけ軽くて持ち運びやすいものが良くて、さらに音量も大きくできれば良い、というところです」

「いろんなアンプを試した結果、どんなアンプでも演奏はできるのですが、ジャズをやるなら『ジャズ用』として設計されたものが無難だと思います。ちなみにHenriksenは価格が高いところだけが弱点です」

「奏法としては
・できるだけいい音で弾く(聴いていて心地よい音)を出す
・ペダルは使わず、弾き方で表現する
という点を意識しています」

❸現場にて「音が大きくなりすぎないように心掛けてる」

「本番では、音が大きくなりすぎないように、を一番心掛けています。ギターはアンプを使う楽器なので、つい音量が大きくなりがちなのですが、なるべく聴く人の立場になって調整するようにしています。リハーサルの時にちょっと離れた場所で聴いてみたり、他の人にも聞いてみたりするとよいかと思います」

「あとは、指板とネックのケアを大事にしています。部屋の湿度や温度でネックがベタついてくることがあり、演奏に支障がでることがたまにあるので、ギターケースに潤滑剤(ストリングクリーナー)を入れています。本番のときにはアンプの横などに置いておいて、もしネックがベタついてきたら潤滑剤を使うとストレスなく演奏できます」

◼️読者に一言

「肉じゃぎというサイト(YouTubeチャンネルもあり)を運営しているので、もし機会があれば見てみてください」
https://nikujagi.com/
https://www.youtube.com/c/%E8%82%89%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%8E

◼️川邉マナブさん プロフィール

1979年宮城県生まれ。15歳からギターをはじめる。21歳ごろからジャズに興味をもち、音楽理論やジャズ演奏を学習。

現在は、おもに北陸地方にてイベントでの演奏やバーなどでのライブ出演など音楽活動中。ジャズを弾けるようになるまでに苦労した経験を活かし、ジャズ演奏志望者へのレッスンも行う。

◼️関連コンテンツ(編集者による他薦)

チェック済の方も多いと思いますが、川邉さんの関連コンテンツを紹介させてください。

・人気のジャズギターアンプ
 https://youtu.be/2Z5qvRYyw7k?si=6bR9NpmLwaOnE3x-

・ジャズで使えるギターサウンド
 https://youtu.be/9U7IjJiSumM?si=2U03w0ea8g1QRGiw

アンプ選びについては、是非、過去の記事も。

・肉じゃぎさんにアンプ相談

 https://jazzguitarnote.info/2024/02/03/amp-nikujagi-1/
 https://jazzguitarnote.info/2024/02/09/amp-nikujagi-2/

◼️最後に(編集者から)

川邉さんの「そっくり真似るのではなく、いい部分を自分の中に取り入れる」というコメントに共感する方は多そう。

一方で「自分の求めている音」を的確に説明できる方は多くないかもしれません。私なんて、説明どころか「自分はどんな音が好きなのか」すら、ボンヤリしてます。目指すところが不明瞭だから、何をどうすれば近づけられるのかなんて底なしの迷宮です。そんな私にも開かれた道はあって、自分の求めている音は説明できなくても、「AとBとCなら、自分はAが好き」なら答えられる。

その点で、肉じゃぎさんの比較検証コンテンツでは、他サイトを凌駕するレベルで、痒いところに手が届いた情報を提供くださっている。音づくりには無数の要素が絡んできますが、「軸」を決める重要な因子として、ギターやアンプ選びは重要です。膨大な私財と労力をかけて検証され、それらの検証結果を惜しげもなくご提供くださっている川邉さんには、ただただ感謝です。

川邉さん、これからも肉じゃぎさんの検証コンテンツに期待させてください。今回もお忙しいなか、取材ご協力ありがとうございました。

(ご案内)xにて記事の新着をお知らせしています。https://x.com/jazzguitarnote

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