名工に聞くvol.1 山岡則正さん

今夏、何年かぶりに岡山を訪ねました。岡山県の倉敷が私の生まれ故郷なのですが、もう実家も引っ越していて、なかなか行く機会が無かったんです。

中学生でギターを始めた頃は、ブライアン・メイ、ジェフ・ベック、リッチーブラックモアといったロックギタリスト全盛期で、私の周りでジャズを聴いたり弾いたりする仲間は皆無でした。高3の受験期にカシオペアに出会い、分数コードなる響きを知るに至り、「なんじゃ、こりゃー」と衝撃を受けたことを覚えています。当時、受験勉強真っ最中ながら、山陽放送主催の収録ライブを観に行ったりしてね。大好きだった名曲「Cross Point」も、もう38年前のリリース(1981)だって。歴史を感じるなあ。その後、ジャズ道には進まず、ファンク道へ。それから、かなりの年月を経て「ファンク道を深めるために」とジャズギターを手習いしたのが深みにハマるキッカケ。あーもっと早く目覚めていたらな。

今では倉敷にもジャズフェスティバルやジャズクラブがあって、当時よりはジャズが浸透している様子。今回の岡山来訪でも折角だからスポット巡りをしようと思っていたのですが、お盆中でライブやセッションも無く断念。また機を見て遊びに行きたいと思います。

さて寄リ道はこの辺にしておいて本題です。

 

■新連載「名工に聞く」はじめてみます

コツコツとギター道を歩むうちに、オボロゲながら、自分の好みのギターや状態が分かってきます。ところが、私たち平民ギタリストは、ギターの製作やメンテをお願いする機会が圧倒的に少ないために、いまひとつ持ってゆきたいイメージを言葉にすることができない。

連載「名工に聞く」は、そんな同士のギタリストの方々とともに、ギターやエフェクター(ペダル)を製作・メンテナンスされている名工の方々に、ご指導を賜ろうという企画です。

質問は共通で下記3つになります。
・生音とアンプ音をどう捉えるか?
・道具を選ぶコツ、使うコツ
・自分が出したい音を追求するには?

(名工プロフィール)
どのようなモノづくりを目指されているか?

 

■第1弾は倉敷在住、山岡則正さん

記念すべき連載第1弾は、倉敷でギターを製作されている山岡則正さんです。どなたにお願いをするか迷ったのですが、生まれ故郷・倉敷に素晴らしいギターを作っている方がいらっしゃることが嬉しくて、お願いをしました。

山岡則正さんは、お一人でギターを製作されていて、渡辺 香津美さんや布川俊樹さんなど、国内のトップミュージシャンが使用しています。記事後半にギターの紹介も掲載しておきますので、ご興味ある方はアクセスしてみてください。

では山岡さん、お願いします。

■(質問1)生音とアンプ音をどう捉えるか?

ご質問の主旨とは違う気もしますが製作者としての立場から、生音とアンプの出音との関係についてお話ししたいと思います。

エレキギターのマイクはマグネットコイルなので弦振動しかピックアップしません。それに関して「エレキギターはボディ(木部)の振動はアンプ音と無関係」と言った意見を聞いたことがあります。先に結論から申しますとそれは間違いです。

実際の弦の振動はピッキングによる振幅運動以外にも複雑な動きをしています。例えばボディを手のひらで叩く、ピックで叩く、それぞれは違った「らしい音」に感じると思います。それはボディの振動を弦がピックアップしているからです。また、当たり前の話ですがボディの振動は空気を振動させ「音」として耳まで届くわけですね。大雑把に振動の伝達経路として言えば 弦―ボディー空気 の順で、それらは相互に影響し合うわけです。つまり、弦はボディや空気の振動を拾い表現できるんですね。

そこで、では生鳴りの良いのが良い楽器か?というと、それは別な話で、演奏スタイルや個人の趣向などによって様々ではないでしょうか。

■(質問2)道具を選ぶコツ、使うコツ

自分はプレイヤーではないのでこのことについては逆に問いたいと思うわけですが、個人的には男女の恋愛関係のような感覚で良いと思います。それは出会いでもあり、隅々まで100%満足するような楽器はなかなか。それでもトータルで好きな楽器を愛情を持って使い続けると答えてくれると思います。製作者として一言、「ヤマオカギターを是非!」笑

■(質問3)自分が出したい音を追求するには?

厳密に全く同じ音が出るギターはこの世に二つとありませんね。もう一つ、「どんなギターを弾いても○○氏の音だ」と感じることもあります。
また、ギターを楽しむ観点も人それぞれかと思います。

機材やそのセッティングを追求するも、演奏技術から攻めるも良し。まあ、男の子のロマンですね(笑)ギター製作も同じこと、たどり着かないからこそ面白い

 

■(田中から)インタビューにお答えいただいて

お話をお聞きして「自分らしい音」を、もっと意識しなきゃいけないな、と思いました。そのためには、どんな環境でも自分の音が出せるよう、場数が求められそうです。

他人の音源を聴き「あんな音を」とイメージを持つことは大事ですが、全く同じ環境を整えるのは不可能なので、「このギターで、このセッティングなら、こんな音がする」「ピッキングで、これだけ変化の幅が出せる」という経験値が重要なポイント。プロの方々が「練習は必ずアンプを通して」と仰るのも、そんな意味合いが含まれているのでしょう。

また出音に関しては、ギタリストが気にするほど、聴いている側はそんなに気にしてないと思うし、気づいてもいないはず。大切なことは、弾いている自分が気持ち良いと思える音が出ているかどうか。自分の出音を客観的に聴きながら弾いていることも重要であるし、気持ち良い出音はフレーズにも影響する、ということなんだろうな。

山岡さん、貴重な示唆をありがとうございました。最後に、山岡さんと製作されているギターの紹介を少し。

 

■山岡則正さん

1964生 岡山県倉敷市でジャズ系ギターを製作。
Yamaoka Guitars 代表

「どのようなギターを目指されていますか?」

例えば「良い音とは?」と言った定義はあって無いようなもの。では美味しい食べ物は?メロン、寿司、蕎麦、ステーキ。。全く違う味ですが、共通点は、誰もが(大多数が)美味しいと感じている、ということです。

「音」も同じく、誰もが心地よいと感じる音があり、その音色も無数にあると言えます。ギターに於いて、敢て条件を挙げるとすれば、例えば、発音特性、音色や音量とそのバランス、サスティーン(減衰特性)、デッドポイントやノイズ等有無、弦やポジションによる各特性のバラツキ有無、etc,これら全てが優れていなければ、ということではありません。むしろ、トーンのバラツキやノイズがギターの醍醐味だ、という見方もあります。

敢て私が言い換えれば「らしい音色」ということでしょうか。この理想もまた作り手10人10色というわけですね。そしてメーカーもプレイヤーもプロまたはそれを目指す者とアマチュアの決定的違いは、個性というか「独自の世界観」を有しているか、ということだと思います。それは理屈抜きで他人を感動させ魅了するフォースのようなもの。こればっかりは作り手も演り手も自分で見つけるしかありませんね。自分の信じた「音」を迷わず追求して行く、その終わりのない道を人生として楽しめたら最高ですね!(笑)

 

「私(田中)が気になったギター」

NY-5(実勢価格 ¥ 790,000 + TAX)
オリジナル・フローティング・ピックアップを搭載、よりアコースティカルなモ デル。独自のキング・ポスト構造により、ハウリングも抑えられている。低音のもたつきも無く、素早いフレーズにもしっかりと対応。

NY-5

NY-5ブリッジ

オリジナル・フローティング・ピックアップ

D-50(実勢価格 ¥ 1,300,000 + TAX)
山岡氏が考える最高級なフルアコとして発表。トップ単板かつバック合板とし、独自のじキング・ポスト構造を採用。無駄な低域を絶妙なポイントで抑えられている。ネックのシェイプ等も絶妙に握りやすく、細かいところまで拘り抜かれたモデル。

D-50

D-50ブリッジ周り

D-50ヘッド

JG-1(実勢価格 ¥ 790,000 + TAX)
15インチボディながら、絶妙なるデザインに仕上がっている。小振りなボディ容量ながらもアコースティカルであり、キレの良さ、サスティーンが豊潤。

JG-1

JG-1

JG-1ブリッジ周り

 

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