個性を磨く❹ 高免さん「オンリーワンの探し方」

何度かインタビューさせてもらっている高免さんが、昨年2023年7月に、書籍を出版されました。一念発起でバークリーを目指し、その後、NYに身をおき、現在の居場所やスタイルを確立されるまでの葛藤や挑戦の様子を綴った本です。

「ニューヨークでジャズ・ギタリストとして生きるために、ぼくが実践してきたシンプルなルール」

・定価:本体1900円[税別]
・四六判・並製 | 240頁+カラー8頁
・発売日 : 2023年7月25日
・amazon : https://amzn.to/47xZsaw

■ジャズギターの研鑽に励む人にこそ読んで欲しい

本のタイトル「ニューヨークで、ジャズ・ギタリストとして生きるために、ぼくが実践してきたシンプルなルール」や、帯に書かれたコピー「大好きなことで食べていく!」「自営業成功の秘訣とは?」だけを見ると、自分と関係なく感じてしまうギタリストもいらっしゃるかもしれません。

沢山のヒントやメッセージが詰め込まれた本なのですが、個人(編集者)的に気になったのは「ナンバーワンでなくオンリーワンを目指す」のメッセージでした。「オンリーワン」なら、例えニューヨークに移住しなくても、抜きん出た技術力がなくとも、会社勤めをしながらでも、誰もが目指すことができます。ギタリスト共通の目標です。

一方で、オンリーワンを目指すと言っても、定義や方法論がある訳でもなく、そもそも言語化しにくい世界だったりします。そこで、高免さんに、一人ひとりが自分なりの「オンリーワン」を目指していくための、ヒントをもらいたいと思います。

では高免さん、宜しくお願いします。

取り組みの姿勢が、その人らしさとして表現される

「オンリーワンを目指せ」というメッセージは、僕にとってもすごく大きな言葉でした。まさに「オンリーワンとは?」ということを探して、ずっとやってきた感じです。そして、自分がやってきたこととか、自分のやり方といったことが、大切なんじゃないかなって思うようになってきて。

周りと協調性を持って凄いチームプレイで作業できる人もいれば、引き立て役として凄い人もいます。先頭に立って何かができる人もいれば、先頭に立ってる人の補佐をする人もいる。そういった、その人の性格も含めたことが自分らしさなのかなと思ったら、自分のやりたいことをただ続ければいいだけなんだなっていう風に思うようになったんです。自分が物事に取り組む姿勢のように捉えるというか。

目標を設定して、それを達成するために必要な準備をして、それから実際にやってみる。うまくいかなかったら改善して、もう1回トライして、みたいな流れをやっていくのが僕の個性なのかなって感じてます。うまくいったときにもちゃんと反省することや、なかなか目標を達成できなかったら、目的地を変えずに行き方を変えるイメージで、アプローチの仕方を根本的に変えることも大切だと思います。

例えば、ジョン・スコフィールドやパット・メセニーの音やフレージングは個性的ですけど、彼らの音楽を作り上げてきた、その取り組みの姿勢が、やっぱりその音に表現されてるんじゃないかと。この前、メセニーのソロギターのコンサート見てきたんですけど、彼が吸収してきたものを彼の中のフィルターに通して演ってるという感じがすごく伝わってきましたよ。

自分がやりたいと思うことをやる

ギターを始めた時の衝撃というか、始めたいなと思った時のことを未だに覚えてるんですけど、理由抜きにやりたいと思えたというか、何かワクワクする感じがありました。そんなことってありますよね?その、やりたいことのために、こうやってやったら面白いんじゃないかなとか。面白いけど、できないこともいっぱいあったりとか。基本は、試行錯誤がある前提で、とにかく自分がやりたいと思うことをやるということが大切だと思うんです。

例えば、ソロギターだったら、ジョー・パスがやったような感じで弾くといういうのは、ギター同士のことなので、練習すればある程度はできるようになると思います。だけど僕は、セロニアス・モンクのソロがすごく好きなので、彼のピアノ演奏から取り込んだりするんです。

モンクって、実はギタリストが思っている以上に、意外と弾きやすいボイシングを弾いているんですよ。ピアノの人ってクラスターが入ったようなボイシングで、ギターでは指が届かない、なんてイメージもあると思うのですが、モンクは左手でルートと7度を弾いていることが多かったりして、意外に弾けちゃったりするんです。僕はジョー・パスみたいにテクニックあるわけじゃないので、むしろピアノの右手と左手を分けるような感じで弾けば、上手くいくんじゃないかなと思って。

そんな風に、僕は「これはやりたいな」と思ったことを中心にしてやってきたし、「これやったら面白いんじゃないかな」ということを考えるようにしてますね。

憧れが尊敬に、感謝に変わった

憧れって、自分がこうなりたいとか、これできたらいいな、というものだと思うんですけど、ある時点から、憧れというよりも、尊敬という意味に変わってきたんです。尊敬というか感謝ですかね。

僕はアート・ブレーキーが大好きなんですけど、アート・ブレーキーのバンドがやってきた音楽とか足跡には、すごく感謝しています。じゃあ自分で何ができるかって思った瞬間に、真似するという感じよりは、感謝して、その中で自分で作っていくっていうイメージ。ゼロから作っていくことは、完全なクリエイトですし、勿論、それもすごく大事だと思うんです。でも、素材になるものがあって、そこからクリエイトしていくという形もとても大切だと思います。

何もない状態から「何か作ってください」って言われると難しいですけど、「ラーメン作ってください」って言われて、ラーメンという方向性が決まれば作ることができる、みたいな。今までの人たちに感謝してやっていくことで抜けられるんじゃないかなと思います。

別の例えで言うと、ジム・ホールと一緒に演奏していたような方と一緒に演奏したときに、自分にジム・ホールのような演奏してほしいと思っているかと言えば、やっぱりそうじゃなくて、その場でやっぱりみんなで音楽を作っていくことが大切で、ちょっと視点も変わってくるんですよね。

コンテンポラリーなんだけどトラディショナル

まわりから仰っていただいたことで、自分の中では気づかなかったなと思うことが2つあって。ひとつは「すごいコンテンポラリーなんだけど、トラディショナルで、そういう演奏してる人少ないよね」って言われるんです。

僕自身はデューク・エリントンを聞いて育ってきたわけではないし、ダンスホールでダンスをしたり、結婚式でジャズバンドがいるようなところで育ってきたわけではない。やっぱりアメリカで生まれて、ジャズを本当に知ってる人たちとは違う。その前提をもった上で、色々と学びたいというのがあって。

僕はジミ・ヘンドリックスとか高崎晃さんとか、すごい好きだったので、ロックとかブルースとか、そういったところからジャズに流れてきたんです。そういうルーツ的なところは、やっぱり大切にしていきたいなと思っていて、今の自分が聞いてきた音楽とジャズを融合させてきてるっていう感覚があるんです。

コンテンポラリーだけどトラディショナルと仰っていただいたお話は、僕の中のそういった出自に起因しているのかなって。コンテンポラリーな要素って色々あると思うんですけど、昔みたいにエリントンやコルトレーンだけ聴いてジャズをやるのではなくて、例えばレッド・ツェッペリンをずっと聞いてて、それからジャズに入ってきた人もいるし、レディオヘッドを聴いてジャズに入ってきてる人もいる。そういうものをひっくるめてコンテンポラリーな要素だったりするのかな、と。

僕らの近い世代で言うと、ピーター・バーンスタイン、ラッセル・マローン、カート・ローゼンウィンケル、ジョナサン・クライスバーグあたりが近いのかなって思ったりしますね。

メロディ単体の説得力を大切にする

もうひとつ。これも面白いなと思ったのは、僕の音楽を聞いて「すごく日本的だ」という感想を持たれる方が結構いらっしゃいます。何処が日本的なのかな?と僕もちょっとわかんなくて、でもそのセリフが僕には凄く印象深いものだったんです。日本の音階を使ってる訳でもないし、特に日本の要素を取り入れようと思ってやってるわけでもないんですよね。どういうことなのかなと思って、色々ずっと考えてたんです。

じつは、この前、ヨーロッパで演奏してきた時にいろんな人たちから話を聞くうちに、「もしかしたら、みんなが思ってくれる日本っぽさって、メロディ単体の強さじゃないか」と感じるようになったんです。メロディ単体の説得力を大切にするっていうのは、日本人の特徴なんじゃないかなと。西洋はどうしてもメロディが音楽の一部になる要素があるんですよね。ハーモニーが絶対ついてるので。東洋は、例えば、ギターとかピアノのような伴奏というか和音がなくても、メロディだけで音楽が成り立つところがあって。尺八やほかの和楽器もそういったことを反映していると思います。

やっぱりメロディの要素ってすごく強いと思うんです。取れたてそのままのメロディの強さっていうのは、日本人やインド、中国とか、アジアの人たちが持ってる強さなんじゃないかなっていう風に思うようになってきました。

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そんなことを思いながら、ジョン・コルトレーンのバラード・アルバムは、ある意味、究極の形かもしれないと感じています。ハーモニーを超越して、メロディーをひたすら歌い上げる。西洋的なアプローチを極めた彼だからこそ到達することができた、とても東洋的というか理想的な形だと感じます。

伸び悩みをされてる人の共通点

一生懸命取り組んでいる方にも言える、伸び悩みをされてる人の共通点というのがあって。

それは「こういうのもありますよ」って提案した時に「自分のスタイルではない」と受けつけない方。「いや僕はこうなんで」って言っちゃうことで、結局そこで止まってしまうというか。自分のやり方はあって然りだと思いますし、1つのやり方を鍛えることは良いことです。でも「僕はこれしかやらない。僕はこうなんだ」と決めつけて、自分がこれまでやってきて上手くいったことに拘り過ぎて、方法論に固着してしまうと、それが音楽的にワークしない時も出てきてしまう。それに自分で気づけないと、もしかしたらすごくカッコ悪いものになってしまう。

学び方にもいろいろあると思いますし、その姿勢自体が個性に与える影響は大きいと思います。ただ、空手でも、型を極めた方は、全然違うことを学ぶと思うんですよ。型をしっかりやって、それを崩していく姿勢で違いが出てくると思うんですよね。

また、個性があまり伸びないというか、個性的だけどカッコよくないというのは、1人の問題ではなく、周りの音が聞けてないというか。周りの音と作った音楽がかっこ悪いということにも繋がってくる。皆んなはこうやって行こうと思ってるのに、自分のやり方はこっちだからと、うまくいかない音楽になっちゃうってことは多いと思います。

ジャズはソーシャルアート

すごくコンサバティブというか、伝統を大切にする人もいれば、新しいものを作り出そうという風に思ってやってる人もいます。ジャズのスタンダード曲やフォーマットに固執せず、ジャズの方法論を使っていろんな音楽を作っていく方もいます。

面白い話として、デューク・エリントンがThere are two kinds of music. Good music and the other kinds.って言っています。つまり「世の中には2つの種類の音楽しかない。いい音楽とそれ以外」みたいなこと(笑)。

ジャズにこだわり抜いて、伝統的な音楽をやっていくのも良いと思うんですよね。ヴィンテージのワインの深みというか。けれども、僕が思うに、ジャズってやっぱりソーシャルアートなんです。皆んなで作っていく、皆んなで会話しながら盛り上げていく。その会話を楽しくしていくっていうところが、僕はすごいジャズの大切な部分だと思っています。そういったジャズの即興演奏のスピリットは、時代を経ても繋がっています。

技術の使い方を磨いていく

表現したい音楽のために、自分が持っていないテクニックがあれば、磨いていくことは必要です。自分がやりたい音楽、弾きたいフレーズ、あの出したいハーモニーがあって、そこにテクニックがついてこないところを埋めていくような感じ。僕の場合は、技術的なことよりも、技術の使い方と言ったほうが近いかな。

すごい包丁を研ぎまくって研ぎまくって、めちゃくちゃ鋭く研ぎ澄ますことも大切ですが、今ある包丁で、色んな切り方を覚えるっていうか、こういうやり方もあるんだっていうのを気づいていく感じですかね、今は。

トレンドは意識していない

音楽の流行も移ろうものですが、僕はあまり意識してないです。自分がやりたいことをやることが基本です。ただ、一緒に演奏してるメンバーが音楽的に考えていることに合うようにやっていこうっていう姿勢は常にあるので、今の流行りの音楽っていうものがそこに入ってくることはあるかもしれませんね。一緒にやってるメンバーからの刺激で、今のトレンド的な影響を受けながら変わっていくっていう。

ニューヨークも日本も同じで、尖ったジャズをやっている人もいれば、伝統的なジャズを追求していくっていう人もいれば、伝統的なジャズを追求している銛がすごく尖ったものになってるっていう人もいます。ヴィンテージ的な味わいとかを求めると、やっぱり伝統的のジャズのフレージングや語法、みんなが知っている曲など、知ってないといけないことがあります。あのレコーディングの演奏はこうだった、いうところまで、すごく重きを置かれると思うんです。

そうじゃなくて、それはそれという感覚で、何か新しいものを作っていこう、という人もいる。むしろ「チャーリー・パーカーがそれをやったんだから、チャーリー・パーカーみたいに弾いても仕方がない」と考える人もいると思うんです。コンサバティブでありながら、ちょっと尖ってるような、ちょっと尖ってると思ってても、よく聞いてみたら凄くトラディショナルな感じっていうのはよくありますね。

どちらかというと日本人は職人気質かも

僕のイメージなんですけど、日本って、どちらかというと職人文化というか、ジャズの芸能的な部分に重きを置いている印象を受けますね。「この人は上手い」と言う場合も、西洋の人、特にアメリカの人は、どちらかというと芸術みたいなところに重きを置いているというか。

芸能と芸術のニュアンスの違いは微妙ですが、芸能は、技術を競い合う、技術ありきでなにかを作るという側面が強く、芸術は、アイデアや発想が面白く、これまでにないものを創造するという側面が強いイメージというか。もしかしたら日本ではニルヴァーナのような個性的なバンドは出てこれないかもしれないですよね。

日本だと「ライブハウスに行く前に、しっかりとギターの基礎を練習してこいよ」みたいなとこから始まって。それは技術とか能力を競うものになってくるので、難しい問題ではあります。ジャズがツマラナイって言われてることも、もしかしたらこういったことが関係しているかもしれません。

「俺は高木ブーだよ!」の強さ

あと1つね、面白い話があるんですけど。日本ツアーで回っているときに、ちょっと空き時間ができたので、メンバーとCD屋に寄ったんです。

ピアニストはECMのアルバムや、僕もなんかジャズのアルバムとか買って。で、メンバー1人が筋肉少女隊のベスト盤を買ったんです。そのアルバムには、ヒット曲の「元祖高木ブー伝説」が入ってて。ずっと「ブーブー高木ブー」という感じで歌ってるんですけど、すごいメロディも覚えやすくて、歌詞も強烈じゃないですか。ツアーの移動中には、それこそかなりの枚数のアルバムをかけていましたが、結局、メンバーが鼻歌のように歌っていたのは、高木ブー伝説だったんです(笑)。

そのときにメンバー全員と、こうやって心に残って自然と口づさんでしまうようなメロディって一番大事だよねって話をしました。CMなんかで洗練された感じの曲とかってやってるけど、でも結局心に伝わってくるメロディは、ダイレクトにバーンってくるものがやっぱ強いんだなと。結局そういうところを意識しながら、自分が音楽作っていく時に、自分が出したいと思うもの、出したい音を、出したいフォーマットで、出したい表現法で、バッて出すと、人には凄く伝わりますよね。すごく大切なことだと思います。

ジャズっぽいか、ジャズっぽくないかは関係ない

拙著を読んでいただくと、ご自身には遠すぎる、難しいって捉えてしまう人もいらっしゃるかもしれません。でも、オンリーワンというのは十人十色。100人いたら100人絶対違うやり方があります。自分がやりたいことをミッション・ステートメントみたいな感じで、紙に書き出しても良いかもしれません。僕は、フレーズはウェス・モンゴメリーみたいに、チャーリー・パーカーのようなアーティキュレーションで、セロニアス・モンクのような和音を使ってとかイメージしていました。でも、内容はどうでもいいと思うんです。そんなん、どうにもなんないよとか、そんなのやってもしょうがないよって思わないで、とにかく自分がやりたいことを書いてみて、本当に自分がやりたいことだけを書いて、それだけやれば良いと思うんです。

YouTubeとか見たら、ジャズをやるならこういうフレーズ弾かないとダメとかみたいな感じになっちゃう。でもその正解は1つじゃないですから。周りの人のことを気にしすぎず、自分がやりたいことを中心に据える。何にも遠慮しなくていいんですよ。これがジャズっぽいか、ジャズっぽくないかじゃなくて。

僕はジミ・ヘンドリックスが好きで、ラウドネスの高崎晃さんが好きで、布袋さんや松本さんも好きなんですけど、そんな人は「自分は、高崎晃さんみたい感じでジャズをやりたい」でも良いと思うんです。面白いか、やりたいかやりたくないかを明確にしてやってみて、あれ?これちょっと違うかなと思ったら止めてもいい。僕は高崎さんのスタイルでコンファメーション弾けないかやったりとかしたんですけど、やっぱりこれはダメでしたけど(笑)あんまり深く考えないで、自分がどうとか周りがどうとかじゃなくて、とりあえず自分がやりたいことだけ。

苦手なのか、嫌いなのか

自分の本能というか、これをやりたいって思うことってあるわけじゃないですか。何かしら、ギターをやりたい、ギターを手にしたいと思うきっかけがあったはず。ギターを弾いたら女の子にモテるとか、そういうのも含めて、どんな理由でもいいんで、なんかやりたいことをやるっていううんことじゃないですかね。

何がカッコ良いかは、丁寧に探った方がいいですね。そこがやっぱり1番の大きなポイントになると思うんです。これカッコいいな、なんでカッコいいんだろう?とか、好奇心持って。今のフレーズ、かっこいいな、とかそんなもんでもいいんですよ。あとは、本の中でも触れましたが、ある時期から自分がカッコいいと思うこととばっかりやっててもダメになってくる時期があるというのも、心に留めておいてほしいです。

そんなときは、自分が苦手なものと嫌いなものを考えると、道が開けることが多いです。生理的に受け付けないことは嫌なこととして仕方ありませんが、苦手だから嫌いになっているということがあるので、そういったときは自分ができないからと避けるのはもったいないですよね。この2つをしっかりと仕分けすることは、個性を見つける上で、めちゃくちゃ重要かもしれないです。

嫌なことじゃなくて、本当はやりたいんだけどできない。そんなことにフォーカスして、苦手をちょっとづつ得意に変えていく。そうすることで、自分のやりたいことができるようになるんだっていうモチベーションも出てくると思います。

迷ったときはとにかく紙に書き起こしてみるのはオススメです。そうすると「なんかあれ?ここでつっかかってるけど、俺、これ超えていかないといけないじゃん。待て待て、これ、めちゃくちゃどうでもいいことで、つっかかってんじゃん俺」って冷静に見えてくるので、気分的にもすごい楽になるんですよ。

うまくいったり失敗したり。でも、その、ずっと繰り返し

今回出した本は、恩師から「君は本書きなさい。本を書いたら、お前の人生の地図ができるぞ」と言われたことがキッカケでした。どうやっていいか分かんなかった、10代後半・20代の自分に向けて書いたつもりが、逆に、書いていくうちに「こんな風にやってきたから上手くいってたんだ」と気づくことができて。今もそのやり方にこだわってる自分が結構いるんですよ。

30代40代になって、いま僕は46なんですけど、自分のやり方とかが見えてきて、いろんなものがやっていけるようになった時に、その、やり方を見つけるまでの気持ちが大事だったりするんですよ。そうすると、いくらでも変われるんです。そこに行くための、その根本にある自分のエネルギーみたいなものを意識できれば「このやり方はワークしてるね、ワークしないね」と自分を分析もできる。プロセス自体は全部変わんないんですよね。結局、やりたいっていうのがあって、色々な準備とかして、色んな人に話を聞いて、でやってみて、うまく行ったり失敗したり。でも、それを、ずっと繰り返していくもんなんです。

高免さん プロフィール

高免信喜(たかめん・のぶき)

1977年広島県生まれ。2001年に渡米し、2004年からニューヨークを拠点に演奏活動をつづける。Blue Note NY、Blues Alley、Iridium Jazz Clubといった有名ジャズ・クラブや、世界最大級のモントリオール国際ジャズ・フェスティヴァルをはじめ、数多くのジャズ・フェスティヴァルからも招聘され出演。北米やヨーロッパでのツアーだけでなく、2004年からは毎年日本ツアーもおこなっている。米名門レーベルSummit Recordsや日本のWhat’s New Recordsなどから、8枚のリーダー・アルバムを発表。All About Jazz誌では5つ星を獲得し「これまでに日本が輩出した最高のジャズ・ギタリストであることは間違いないだろう」と絶賛される。全米ソングライティング・コンペティション2019ではインスト部門で第1位を受賞するなど、作曲家としても高い評価を得ている。

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本 目次

「ニューヨークでジャズ・ギタリストとして生きるために、ぼくが実践してきたシンプルなルール」

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はじめに
1 オンリーワン探しの旅に出よう
2 いちばん大きな問題に取り組む
3 進化のスピードを上げる
4 新しいことをはじめるときの4つのステップ
5 出会いにつながる自己アピール
6 自分の限界の壁を越える
7 郷に入れば郷に学べ
8 石橋は叩きまくって渡る
9 記録することのたいせつさ
10 イエスという決断
11 やりとげるための習慣
12 失敗というチャンス
13 Life is Now──いまを生きる
14 最短の時間で最大の成果を
15 相手の動機を考える習慣
16 変化のある継続こそ力なり
17 挑戦しつづける原動力
18 行き先を変えず、道を変えること
19 誰でもできる財布のヒモの締め方
20 チャンスを生みだす習慣
21 目標達成の速度を上げる
22 人生の分かれ道でやるべきこと
23 すべてはひとつひとつの出会いから
おわりに

(コラム)

・練習メニューについて
・練習のときに意識していること
・これから海外に出る人へ
・誰が聴いているかわからない
・愛用のギターを紹介します!
・一周グセ
・最高の音楽の聴き方
・人生を変えた1冊の本
・想像できれば創造できる
・他人のせいにしない

印象に残ったコメント(編集者による抜粋)

「ナンバーワンではなく、オンリーワンをめざせ」※高免さん恩師の言葉

「周りの生徒を競走相手としてではなく、素晴らしいお手本として向き合うことができるように」

「バークリー在学中は、大好きなお酒を一滴も飲むまいと心に決めて」

「やりたいことを明確なヴィジョンとしてもち、自由な発想とやり方で、自分の信じるスタイルを貫きとおす」

「(作曲には苦手意を持っていたため)2年に1枚のペースで10枚のアルバムを作る目標を立てた」

「(イヤートレーニングに苦手意識があったので)卒業までにジャズのソロを100曲耳コピーして採譜する目標を立てた」

「(管楽器からピアノ含めて、歴史的名演から現代最高峰の演奏までか)片っ端から採譜」

「自分ができること、居心地のいい領域に閉じこもって、無意識のうちに成長を妨げていた」

「主催者が必要としていることと。自分の貢献ポイントが重なり合ったとき、何倍もの力が生まれる」

「熱のある場所に通いつめる」

「一生をかけて取り組んでいけるような、やりがいのある目標をもつ。その過程で直面する、ひとつひとつの課題を、コツコツと乗り越えていく」

「小さな成功体験を積み重ねていくことで、目標の大小に関わらず、とことんやり抜く習慣が身についた」

最後に(編集者から)

国内外のお知り合いの方から「あなたのジャズには、日本らしさを感じる」という感想をもらった高免さん。その要因が「メロディを大切にする」部分ではないか、またそれが「アジアの人たちが持ってる強さ」ではないか、と仰っていたこと。とても印象的でした。

合わせて、日本人は技術を競い合う傾向があり、アイデアやオリジナリティへの拘りが薄い印象がある、との指摘も。技術を疎かにして良い訳でありませんが、仰っていること、とても刺さります。大切なことを常に意識して、ギターや音楽に向き合いたいところです。

記事をお読みくださった方、ご興味持たれましたら、高免さんの本、読んでみてください。高免さんとは久しぶりの対話でしたが、私も改めて刺激をもらいました。高免さん、ありがとうございました。

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