達人に聞くvol.6 布川俊樹さん

お世話になった布川俊樹さんの教則ビデオを改めて見直したいのですが、デジタル環境に染まってしまった今、なかなか出来ていません。教則本や教則ビデオって、暫くして見直してみると、当時、難解で分からなかったことがスンナリ理解出来たり、見落としていた大切なヒントに気づいたり、再発見があるもの。布川さんのビデオも再確認したい内容ばかり。何とかならないかな。デジタル変換サービスを利用する手もあるけれど、いまや、ネットで同じものをデジタル購入した方が安いかも?

そうそう、布川さんの下記の本を紹介せずして本題には入れません。この教則本は付録のCDがスゴい。模範演奏として、あえて分かりやすく弾いてくださっているはずですが、演奏の完成度が高く、普通に作品CDとして聴けます。なお旧版(写真1枚目)では「MISTY」が掲載されていたのですが、著作権の関係なのか、現状版(写真2枚目)には載っていません。今となっては貴重な音源です。

旧版

現行版

 

■さて前置きが長くなりましたが、いつもの質問に布川さんが答えてくださいました。

 

(1)始められない時、集中できない時の切り札

難しいですね。まず、仕事の場合は、切り札はなくて「とにかくやる」ってことです。やり始めることで、やる気が出ます。練習に関する話だったらやりません(苦笑)。

ちなみに、ギターを中学1年生で始めて20代後半くらいまでは、練習しない日は、確か1日もなかったと思います。それは僕が「とにかくギターを弾くことが好き、音楽をプレイすることが好き」だったからです。結局好きなことばかりやって来たからそういうことは「空気を吸う、飯を食べる」ようにやっていたってことでしょうね。

プロになろうと思ったときに、ギターの様々な練習をしようと思って、練習メニューを手帳に書いて練習時間とかを付けたりしたことがあります。練習メニューの中で、結局好きなことばかりやってましたね(苦笑)。

 

(2)理論を実践に昇華させるには?

僕はいままで、理論→実践という方向性で音楽をやって来たことはありません。

フレージングであれば、常に何か「自分の気に入った音型」を探して(20代くらいまではコピーをしたことも含みます)、そこから自分なりの共通性や類似性を探して曲に応用したりということをやって来ました(理論ってほどではありません)。コードサウンドや楽曲解釈でも同様です。弾いてみて、そのサウンドを別のものに置き換えたりとかは、「とにかくやってみる」です。それで気に入ったものを整理して行ったっていうところでしょうか。実践→自分の演奏方法というところです。

(3)いまの自分を乗り越えるコツ(次にやるべきこと)

若い頃は、とにかく自分の音楽と自分の目標とするような憧れの音楽を比較しましたね。落ち込むこともありましたが、自分のやるべきことが見えました。いろいろな情報(僕の場合は多様な音楽ということでしょうか)を貪欲に吸収したと思います。

ここ数年50代後半くらいからはもうそういう感じではなくて、自分のやっていることを自分の価値観だけで考えない、というか、人任せにしたりできるようにもなりました。それが返って自分の新しい面を発見するってこともありますね。僕は若い頃から、自分の好きなことばかりやって来たので、いまは「人任せ」が逆に新鮮です(笑)。

 

■終わりに

寄り道的な話ですが、布川さんが弾いているギターの製作者である山岡則正さんは、私の生まれ故郷・岡山県倉敷市の方でして。水害で大変だったそうですが、工房も復活されたそうで何よりです。お邪魔でなければ、久しぶりの故郷帰りも兼ねて、お訪ねしたいです。

 

布川さんの教則本・教則ビデオにお世話になった方々、多いと思います。日本ジャズギター界の立役者のお一人と言っても過言ではないでしょう。これからも私たちを導いてください。

 

■ご案内

若手ヴォーカリスト和田明とのユニット「Blue Journey」で、CDを発売されるそうです。発売記念ライブもあるそうなので、是非どうぞ。

「Blue Journey /和田明 布川俊樹」発売記念ライブ

2019/08/09(金)渋谷 JZ Brat(03-5728-0168)
Blue Journey  和田明(vo)、布川俊樹(g)、guest: 西川直人(org)

 

■布川俊樹 Toshiki Nunokawa

1958年7月29日東京都中野区出身。中学時代にマイルス・デイヴィスを聴いてジャズに目覚める。東京工業大学在学中から様々なコンテストで優勝し、1981年ミッキー.カーチスのサポートでプロ活動開始。85年マルタHit&Runに参加。その後幅広い音楽活動のかたわら、VALIS(ヴァリス)を率いてデビュー作「ヴァリス」(91年)から2003年解散までに5枚のアルバムをリリース。その他大ヒットした「ウルトラマンジャズ」(98年)はシリーズ化して全5作、ピーター.アースキン、マーク.ジョンソンらとのLA録音「ディパーチャー」(99年)、納浩一とのDuoRama 3作、山木秀夫を迎えたトリオアルバム「ブラッドトリオ」(04年)、初のスタンダード作品「スタンダードジャズプロジェクト」(09年)、福田重男とのデュオ作品「Chlldhood’s Dream」(11年)、2017年は「布川俊樹SJPトリオライブ~天空の滝」、福田重男との2作め「Old Boys’ Dreams」など立て続けにアルバムをリリース。最新作は、23枚めのリーダーアルバムである若手男性ヴォーカリストの逸材和田明とのユニットアルバム「Blue Journey / 和田明 布川俊樹」(19年)。また教則本、映像も多数あり「ジャズ.ギターの金字塔」はベストセラー。2015年には最新教則本「布川俊樹のThe Standard Jazz Guitar」も発売した。洗足学園音楽大学ジャズコース講師を2000年より務めている。2019年6月現在

 

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One comment to “達人に聞くvol.6 布川俊樹さん”
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