皆さん、ご存知でした?
ハーモニクスによるチューニングの落とし穴。
ハーモニクスによるチューニングというのは、隣り合う5フレットと7フレットのハーモニクスを合わせていく、ご存知のアレです。そもそも私がチューナーにハマり始めたのは、頑張ってハーモニクスでチューニングしても、何故か合ってない気がして落ち着かなかったから。でも、ギタリストの常識であるハーモニクスによるチューニングに落とし穴があるなんてこと、長いこと知らなかったんです。
■ダメな理由(ごく簡単に)
ハーモニクスによるチューニングが合わないのは有名な話らしく、「平均律、純正律、ギター、チューニング」などで検索すると、沢山の記事が見つかります。簡単に解説すると。。
・1オクターブを12等分にした「平均律」と、和音の響きの美しさを重視して不均等に割った「純正律」がある。
・「純正律」の音と「平均律」の音を比較すると、完全に一致するのはオクターブ違いの同音だけ。その間の音は微妙に前後ズレている。
・ギターは典型的な「平均律」の楽器。ところがハーモニクスは「純正律」の音なので、微妙なズレが生じてしまう。
・例えば5弦5Fのハーモニクスと4弦7Fのハーモニクスでチューニングすると、4弦は低くチューニングされてしまう。
ということで、今は便利なチューナーがある時代。頼ったほうが得策です。
■折角なので、寄り道的な実験
曲によってキーは変わるし、曲内でも転調が沢山あるし、そもそも調律バラバラな楽器のアンサンブルによって成立しているジャズの場合、純正律にこだわってチューニングしても、あまり意味がありません。
それはそうなんですが、お時間ある方は、純正律による、より美しい響きとやらを試してみては如何でしょう?
純正律では、トニックCメジャーのミは平均律より少し低めに、トニックCマイナーのミ♭は少し高めにチューニングします。
市販されているチューナーには、この純正律用の音程マークが付いています。下記はKORG 商品HPからの抜粋。
「純正の長3度/短3度の音程を示すマーク付きで、美しい和音の演奏が容易に可能
ブラス・バンドやオーケストラなどで合奏を行う際、特にハーモニーのずれを感じやすい3度和音も、長3度と短3度のピッチを平均律から少しずらすことにより、耳に心地よい、純正な響きを得ることができます。CA-1のメーター・スケールには、ある音程からの純正な長/ 短3度の音程を示すマークが入っています。それぞれのマークに合うようにチューニングするだけで、アンサンブル時に美しいハーモニーを奏でることができます。
*純正な長/短3度に合わせる場合、どの音を補正すれば良いかは演奏する音楽によって異なります。」(KORG HPから転載)
チューナーの三角マークの意味、ご存知でした?左右のマークの位置も微妙にズレていて対称じゃないんですよね。お手元のチューナーに、この三角マークが付いている方は、お時間あるときに、チューニングを変えて(=3度の音を微妙に修正して)、CメジャーやCマイナーを弾いてみてください。どれだけ微妙な世界なのかは実感できると思います。
私が中学生でギター始めた頃は「こうやってハーモニクス使ってチューニングってやるんだぜー」なんて自慢し合ってました。チューニングがそんな奥深い話だったなんて、夢にも思いませんでした。しかし、そもそもギターはテキトーな設定の上に成立している楽器。突き詰める方向を誤ると、余計な寄り道にもなっていまいそうで、ハマりすぎても仕方が無いのも事実。面白いですね。
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