達人に聞く vol.19 Hiro Yamanakaさん

連載「達人に聞く」第19回はHiro Yamanakaさんです。

Hiro Yamanakaさんは、ジャズ・オルガンKANKAWAグループで長らくギターを弾かれてこられた方ですが、音楽ライターとしても有名で、雑誌“jazz guitar book”の記事等で間接的にお世話になっておりました。

(写真)2020年1月に引退したジャズ・オルガンの奇才KANKAWAと

初めてご挨拶させていただいたのは、今月、Hiro Yamanakaさんが企画・主催された中牟礼貞則さんを囲むギタリストセッション(取材の快諾、ありがとうございました)。1音1音を丁寧に弾かれている姿が印象的でした。

では、いつもの質問を。Hiro Yamanakaさん、宜しくお願いします。

◼️始められない時、集中できない時の切り札は?

自分の中に何も浮かばない時は弾かない。感じないものを弾いたら「嘘」になる。何小節でも浮かぶまで、集中が整うまで弾かない。そのためには心身共に健康であることですね。とは言え、日によって、時によって体調は変化しますから難しいですね。

(写真)倉敷市のYamaoka Guitarsの工房にて(現在JG-1を使用)

◼️理論を実践に昇華させるには?

理論は一般的な音楽的感覚を体系付けたものですね。曲を素早く理解する時に理論の知識を借ります。あくまで「一般的感覚」なので、自分の感性の沿わないことも起きます。それは「音楽的自我の誕生の瞬間」であることかも知れません。

◼️いまの自分を乗り越えるコツ

次にやるべきことだらけで困ります。コツは人それぞれだと思いますが、先ずは自分とギターの一体化、つまり浮かんだ音のフレットに自分の指が行くように常に仲良くしておくこと。次に心の中で自分の音楽を歌うこと。そのために感性を磨き続けることだと思います。

(中央)ジプシーキングズFrancesco Grant氏(右)竹中俊二氏と (2019)

◼️ Hiro Yamanaka (ひろ・やまなか)さんプロフィール

和歌山県日高郡美浜町出身。‘81年に神奈川大学を卒業後、国際物流企業に就職。2003年9月に約23年間のビジネスマン生活にピリオドを打ち、2005年よりプロとしてギタリストならびに音楽ライターに転身し、個人事務所“a Taste of JAZZ”を設立。大学時代に渡辺香津美、ビジネスマン時代には鈴木勲(b)に師事し、’03年秋より作曲家でギタリストの高内HARU春彦に師事。
 2006年よりジャズ・オルガンの奇才KANKAWAグループの一員となり、’07年発表のCD『Reminiscence Miles』に全面参加。2010年の自身のリーダー・デビューCD『Sorry I’m Late』はKANKAWA Trioと共に制作した作品で、KANKAWA氏とは100本以上のコンサートやイベントを共にしてきた。2015年7月には自身のプロ活動10周年を記念してRGB名義にて鍵盤ハーモニカをフロントにしたスタンダードCD『Love Knot』を発表。2020年にはHiro Yamanaka with The KANKAWA Trio & Neil Stalnaker名義で『LIVE』をリリース。
 音楽ライター“山中弘行”としては、シンコーミュージック発行の専門誌“jazz guitar book”にVol.3から最近号のVol.37まで多数のインタビュー、試奏レポート、連載コラム、CD紹介を寄稿。Jazz Life誌、Guitar Magazine誌他にも多数寄稿を続け、竹田一彦(g)、a.i.t Guitar Trio、フェレンツ・シュネートベルガー(g)、ギラッド・ヘクセルマン(g)、山野修作(g)、浅利史花(g)他のCDライナーノーツも手掛ける。現在までに1,300本を超える記事を執筆。企画・共著『日本のジャズ・ギタリスト』『世界のルシアー探訪』をシンコーミュージックより、2016年3月には自身初のCD付教則本『スムース・ジャズ・ギター・スタイル・ブック』をヤマハ・ミュージック・メディアより発刊。

◼️最後に(編集者から)

自分を乗り越えるためのコツに対して、「自分とギターの一体化」「心の中で自分の音楽を歌う。そのために感性を磨き続ける」のメッセージ。いづれも身に染みて共感するところがあります。

特筆すべきは、Hiro Yamanakaさんが、23年間勤めた物流企業ビジネスマンを離れ、プロに転向された方であること。会社の仕事が忙しいなんて、言い訳にしてるうちはギタリストとしてアカンという人生の見本です。さらには、ビジネスマン時代のご経験も活かされてか、執筆やプロデュースと、ジャズギターシーンの盛り上げに尽力されている。Hiro Yamanakaさんのような存在、日本のジャズギター界の進化に、とても重要です。

Hiro Yamanakaさん。これからも素敵な企画、楽しみにしています。ありがとうございました。

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