ケーブル修理、大失敗の末に ❷お手本 

045guitars 鶴淵さんを講師に、ケーブルの修理について学びます。前編❶は「部材・道具編」として、それぞれの違いや選び方など、ご指南いただきました。 

今回、連載の中編❷では、鶴淵さんに、一連の流れのお手本を見せて頂きます。取材にあたって、ご自宅の工房から取材場所の会議室に、最低限の部材・道具類一式を持ち込んでくださいました。何から何まで恐縮です(個々の部材・道具については前編❶をご参照ください)。 

では鶴淵さん、宜しくお願いします。 

■作業見本として使用するケーブル 

こちらが、今回、修理に使用するケーブルです(下写真)。何十年も前に購入したモノなので、酸化して少し変色していますね(笑)。よく見ると、チリチリした線が下に接触しそうな状態であることが分かります。 

チェッカーを持っていると、簡単に状態のチェックが出来ます。プラグを動かしてみて、ショートなどがあれば、点灯がチラついたりします。目視では見落としてしまうこともありますし、あると便利な道具ですね。 

(参考)https://amzn.to/3uVjyOA 

作業の流れ 

 (1)プラグギリギリのところでケーブルをカット 

 (2)プラグのカシメている爪を緩めて古いケーブルを外す

修理する場合は、この爪がケーブルを締め付けている状態になっているので、爪をラジオペンチかマイナスドライバーで広げるんですけど、閉めたり開けたりしてるうちに、たまに折れちゃう場合があります。注意してくださいね。 

 (3)プラグをマルチクランプに固定 

 (4)プラグから古いハンダを取り除く

プラグを分離した後、新たに線材をハンダ付けする前に、プラグに付いている古いハンダを取り除き、綺麗にします。取り除きたいハンダ部分に吸い取り線を乗せて、はんだゴテで熱を加えると、毛細管現象で、自然にハンダが吸い取り線の方に取り込まれます。

 (5)線材の剥きとる長さをプラグに当てて検討つける

線材を外皮を剥く前に、プラグに線材を当てて、何処まで被覆を剥くか印をつけます。

 (6)ケーブルを剥く

ケーブルの外被を剥く専用ストリッパーがあると、楽に、そして綺麗に被覆を剥くことができます。 

(参考)日本製線 ケーブル皮むき器 https://amzn.to/3UWpmC7

 挟んでストリッパーをクルクルと回すだけ。バネの力で適度な食い込み加減で刃が外側の被膜だけ切ってくれます。

(7)編み線(シールド)をほぐす

編み線(シールド)を千枚通しなどで丁寧にほぐします。編み方がブランドによって違うので、前編❶をご確認ください。

今回のケーブルは、年数が経って、酸化が進み、変色していますね(笑)。 

 (8)シールド(編み線)を捩って、まとめる 

 (9)プラグに乗せて、芯材の被膜を剥く長さを再確認

端子に乗せる部分だけ被膜を剥がすよう、長さを再確認し、剥きます。

(参考)VESSEL ワイヤーストリッパー https://amzn.to/3wzb8wN

 (10)マルチクランプに設置 

(参考)goot マルチクランプ https://amzn.to/49z3sZT

 (11)線材に予備ハンダ:勝手に裏側まで回ってくれる

ハンダの付け方ですが、細い線は、コテを当ててハンダをつければ大丈夫です。太い線は細い線よりも、ちょっと長めにコテで温めてから、ハンダを乗せると、自然に回り込んで裏まで入ってくれます。はんだ付けの手順は、1)対象を予熱する、2)はんだを当てる、3)はんだを離す、4)はんだゴテを離す、が基本的な順番です。

ちなみに、裏側までハンダを行き渡らせるために、線を動かしたりしなくても大丈夫です。コテを当てて直ぐにハンダを流し込むんじゃなくて、温めてからやっていくと、温かい方に半田は流れていくので、ずらしていくだけで勝手にハンダがシュルシュルと入っていきます。特に網状の線を捻った方は、毛細血管のように、隙間に入ってゆきます。

あらかじめフラックスを塗っておくと、ハンダの乗りが良くなります。

(参考)HOZAN H-722 https://amzn.to/4bZterZ

プラグに線材を当ててみて、丁度良い長さにカットしておきます。

 (12)プラグに予備ハンダ:付ける場所にハンダを先に乗せておく

プラグをコテで温めて、線材を付けたい場所に予備ハンダをします。機材編でご紹介しましたが、コテ先はペンシル型よりマイナスドライバー型のほうが、接触の面が大きくなるため早く温められます。 
(参考)ハンダコテhttps://amzn.to/3wNIWWU + コテ先 https://amzn.to/3Tl6w6v

なお、初体験の方は、付ける時にハンダを溶かしながら、線材とプラグを付けるイメージがあるかもしれませんが、線材とプラグそれぞれに、あらかじめ予備ハンダを乗せておいて、両方を繋ぐ時に、それぞれの予備ハンダを溶かしあって、くっつける感じになります。この方法で、付けたい場所に、最小限かつ適量のハンダで、確実かつ綺麗に、くっつけることが可能です。 

 (13)先に締め部品をケーブルに通しておく

ハンダ付けしてからは通せないので、うっかり忘れしないように。

 (14)線材をプラグに乗せて、双方の予備ハンダを溶かして繋ぐ要領で

端子の穴については、線を通す人も、通さない人もいます。穴の開いてるところにかぎ爪のように引っ掛けると、引っ張られた時にそこで留まってくれる確率が高くなる、みたいな理屈はありますが、むしろ手前の爪の部分でちゃんとケーブルをロックしてもらえれば、その先の線の部分で、ハンダに頼って支えることには重きを置かなくて良いかと。 ちなみに、私の場合は、チップの上に線材を乗せます。人によって、チップの付け方にはスタイルがあるので、ご興味ある方は、色々試してみてください。 

 (15)爪の部分をカシメて、線材とプラグを固定 

ハンダで確実にプラグと線材が接続できたら、ペンチで爪をカシメて固定します。引っ張りに対して、ハンダ付けした箇所にに負担が掛からないように、しっかりと留められたことを確認します。 

 (16)ケーブルテスターでチェック

テスターに接続し、プラグを揺らしたりして、不具合がないか確認します。

 (17)完成! プラグ部品を締めて完成です。 

流石、プロですねー 解説しながらの作業にも関わらず、サクサクと終了です。そして仕上がりも綺麗。目の前で手品を見せてもらったような気分でした。

■045guitars 鶴淵 忠成(つるぶち ただしげ)さん プロフィール

横浜港南区で産まれ、西区で多感な時期を過ごす。生粋のハマっ子。
17歳でベースを手にし、大学を卒業後、IT 企業に就職しつつ、現在に至るまでベースをメインの楽器としてセッションやバンド活動にいそしむ。平行して、音響やレコーディングのエンジニア、ギター、ベース、ウクレレのメンテナンスに携わるも、体系的に基礎から楽器の構造と製作を学ぶため、大手楽器メーカーの主宰するギター製作学科で2年半に渡り楽器の製作に没頭。思うところあり会社員生活に終止符を打ち、エレキギターとベースの個人メーカー設立を目指し、横浜市中区にリペア工房を併設した楽器店を開店する。約3年半の営業を経て、コロナ渦の真っ只中に、店舗を閉店。現在、自社ブランドでの楽器製作を行うべく、横浜市内に製作工房を準備中。 

 中編❷を終えて(編集者から) 

鶴淵さんには、オンラインとリアルの2回に分けて、お時間を頂きました。各ブランドの違いや、手順や道具選びの留意点、ご経験に基づく作業上のポイントなど、貴重なお話が満載。ネットで見ただけでは決して分からなかった、気づかなかったポイントまで、学ばせて頂きました。 

 鶴淵さんのご経験談では、修正を頼まれた楽器や機材を開けてみたら、目を疑うような雑な処理がされたモノが持ち込まれることもあるそう。やはり、お仕事として請け負うからには、仕上げまで含めて、私は細部まで気を遣いたい、と仰っていました。 

 連載「ケーブル修理、大失敗の末に」の中編❷は以上です。鶴淵さん、お忙しいなか、ありがとうございました。3回連載の最後となる後編❸では、素人な私が、改めて最低限な範囲で道具を揃え直し、修理にトライした模様をリポートします。

 【ご案内】X(twitter)にて記事の新着をお知らせしています。 https://x.com/jazzguitarnote/

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