楽譜が空中に浮かんで見える

プロのギタリストになると、スタンダード200〜300曲は覚えていて、楽譜無しで弾くことができます。曲の覚え方には、各自の工夫があるのでしょうが、ある方は「1枚の絵として覚えていて、転調部分などの特徴的なところは、色がついている感じ。」と仰っていました。

曲を覚える、つまりコード進行やメロディを覚えることによって、より自由なフレーズやコンピングが可能となります。楽譜を見ながら弾くと、つい目先のコードを追った演奏になってしまい、ロクなことになりません。楽譜を見るにしても、基本は頭の中で理解し鳴らしていて、楽譜は確認の意味でチラ見するくらいの位置づけに。それが到達目標です。

さらに先人たちは「楽譜に頼って弾いているうちは、いつまで経っても覚えられない。」と仰っしゃいます。そ、そうですね。きっとコツを掴めたら、覚えるスピードも上がっていくのでしょう。

分かってはいても、そう簡単に覚えられないのだよ、トホホ。と嘆く同士も多いと思います。そんな方のために、今回は近未来の楽譜の形を夢想してみたいと思います。

■実験に使うメガネ MOVERIO BT-300

実験機として紹介するのはセイコーエプソンが2016年に発売したMOVERIO BT-300。実際の景色を背景に、画像や動画が浮いて見えるという、いわゆるスマートグラスです。

スマートグラスをはじめ、こうしたスマート機器は、最近、海外勢に押され気味ですが、EPSONさん、頑張ってくれています。EPSONプリンターを何台も使ってきた隠れEPSONファンとしては、応援したいところ。

■まるでSFの世界

私が説明するよりプロモーション映像を観てもらったほうが早いので、ひとまず下記を視聴ください。

ひと昔前ならSFの世界ですね。今回は、このメガネを掛け、楽譜を投影してみよう、という実験です。

■期待通りの外観デザイン

期待通りの近未来デザインです。逆に言うと、さりげなく装着している、という振る舞いは難しそう(笑)

流石にこれだけスペックが高いと、グラス(ヘッドセット)部分に、全てを収めるのは厳しいようで、コントローラーとグラスで構成されています。

また、視力矯正のメガネに重ねて装着できるよう工夫もされています。

■楽譜が空中に浮いて見える

顔をモロ出しするのは、あまりに品がないので、目線写真でご容赦ください。

正面を真っ直ぐに向いて、チャンと客席に目線を配りながら、空中に浮かんでいる楽譜を見ることが可能です。

レンズの横にカメラが収められていて、見えている風景を、静止画や動画で撮影することも可能です。

■実験してみての感想

色々トライしてみたのですが、残念なことに、メガネを通して見える景色を、写真に撮ることが出来ませんでした。

・3:4の画角なので、横向きにレイアウトされた楽譜はいける。16小節の4小節×4段の五線譜とコードは読めた。でも、それくらいなら覚えられそうな気もする。

・縦向きの楽譜だと、サイズが小さくなってしまい、オタマジャクシが読めない。動画も再生できるので、動画で楽譜を上下スクロールさせ対応するか。

・iPadの画面を同期表示させ、既存アプリとフットスイッチで「ページめくり」が出来れば、より実用性が高まるはず。色々と試せば、既に出来そうな気がする(挫折)。

・スマホやiPad用の操作アプリ開発に期待したい。文字入力や画像操作が、飛躍的に楽になるはず。

・近くにいる人から、何処見てるのか分からない、と気持ち悪がられることもあり(苦笑)。

■BT-300 スペック

OS: MoverioOS
CPU: Intel Atom processor Quad-core 1.44GHz
RAM: 2GB ROM: 16GB
サイズ: (ヘッドセット) 191×178×25mm (コントローラ)56×116×23mm
重量: (ヘッドセット)69g (コントローラ)129g
ディスプレイ: 0.43インチワイドパネル シリコン OLED 液晶 (シースルー構造)
解像度: 1280×720 ドットHD
仮想画面サイズ: 64インチ相当(仮想視聴距離 4m時)
カメラ: 500万画素
通信: WiFi 802.11 a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.1
センサー: GPS/地磁気センサー/加速度センサー/ジャイロセンサー/照度センサー
バッテリー: Li-Poly 2950mAh

■最後に(編集者から)

メガネ越しの画像をご紹介できなかったので、なんとも説得力のない記事になってしまいました。百聞は一見にしかず。ご興味持たれた方、是非、購入してみてください。

余談ながら、電車に乗って本やスマホを観ていると、微妙な揺れに、眼が疲れたり頭が痛くなったりしますが、MOVERIO BT-300ならそんな心配は薄そう。また、素敵な演奏動画を見聞きしながら、ツマラナイ会議をやり過ごすことも可能と思われますが、全て自己責任でお願いします。

実験を通して、今後のスマートグラスの進化に期待することが出来ました。チューナーやメトロノーム 、またエフェクターの操作などが出来るようになると、更に面白いですね。グラスでもいいし、EPSONらしくスマートウォッチでもいいかな。EPSONさん、これからも魅力的なスマート商品の開発、宜しくお願いします。

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