自分専用の書斎やスタジオがあったり、家族に気がねなくリビングルームが使えたりすれば良いのですが、自宅で集中できる練習空間を確保するのも容易ではありません。そもそも近所との騒音トラブルを避けるべく、音出しが厳しい方もいらっしゃいますよね。
そんな背景もあって、音楽スタジオで個人練習されている方、いらっしゃると思います。ウチの近所の音楽スタジオは、前日のお昼から個人練習のネット予約ができ、利用料半額で使うことができます。横浜駅周辺の他スタジオも、ほぼ同じシステムで、料金は¥600〜¥880/1Hくらい。
■カラオケルームで練習する人が増加
最近はカラオケルームを使う方が増えてます。楽器練習の場として公に利用を勧めているカラオケルームが増えたからでしょうか。「集中できない時に、コーヒー飲む」のは何事でも定番ですが、カラオケルームの場合、コーヒーから炭酸まで、好きな飲み物が選びホーダイ、飲みホーダイ。自宅や音楽スタジオには無い、カラオケルームならではの特典です。
先日、フラリと近所のカラオケ店(まねきねこ)に寄ってみたら、2人のサックス奏者が練習してました。ドラムや鍵盤の場合、やむなく音楽スタジオを選ぶ方が多いでしょうが、ギターや管楽器ならカラオケルームも格好の練習場所となります。
利用料も音楽スタジオよりも格安です。まねきねこチェーンの価格設定では午前中(7〜11時受付)だと¥20/1Hです。¥2000でもなく、¥200でもなく、¥20です。3時間使っても、室料¥66にフリードリンク¥500付けて総額¥566/3H(税込)。
別のカラオケ店(バンガローハウス)だと、10〜18時ならフリードリンク込み3時間パックで¥858(税込)。
どの店にしても、相場的には、およそ音楽スタジオの1/3でしょうか。値段よりは用途や快適性だと思うので「出音の確認→音楽スタジオ」「演奏練習→カラオケルーム」と、使い分けるのが順当かと。
コロナの心配をされる方もいらっしゃると思いますが、最近は消毒など感染対策もシッカリしているので、カラオケルームも、独りで利用する分には安全なように思います。
■ギターアンプ持ち込みは必須
カラオケルームで練習するとき、ギターとともにアンプの持参が必要です。ガットギターならば不要かもしれませんが、フルアコやセミアコなど箱モノの場合でも、アンプで鳴らすことを強くお勧めします。
カラオケルーム最大の弱点は、隣室からヘタクソな歌が漏れ聞こえてくること。これはお互い様で、暗黙の了解事項なのですが、例え箱モノギターでも、生音では太刀打ちできません。
また部屋が広い時は、生音だとショボい感じに聴こえます。先日、私が案内された部屋は20人利用の大部屋でした。気持ち良い音が出れば、練習のヤル気も上がります。無自覚な弾き過ぎも防げます。やはりアンプは必須アイテムかと思います。
最近では、ギターをカラオケシステムに接続できる店もあるようです。カラオケ音源に乗せて演奏も出来るらしい。ただ、そういった環境が整った店は、まだまだ僅少です。ホームページなどで、事前に確認してみてください。
■アンプの重さが体に堪える
カラオケルームで最初に練習した時は、折角だからと大きめのアンプを持ち込みました。フルアコに使っているアコースティックアンプで、100W出力、ノイズも皆無、とても良い音がします。ただ最大の難点は重量が14kgあること。カラオケでの演奏には、オーバースペックです。
次に行った時はZT LunchBox Jr.を持参しました。小さな駆体ながら100Wの出力があって、改造を加えてあるので、出力を上げても歪まずクリーンな良い音がします。重さも2.27kgと格段に軽いのです。
しかし、そんなZT LunchBox Jr.も、小さいとはいえ専用バッグが必要なサイズです。すなわち、ギター(ケース入り)・小道具バック(楽譜や小物類)・ギターアンプ(バックに入れて)の3つの大荷物を抱えて行くことになります。バンドのリハやライブで必要あらば、やむなく必要なモノは持参しますが、ジャズの個人練習は、もうちょい身軽にしたい。
■更なる超軽量アンプ
なんとか小物バックに入れることができ、気持ちよく弾ける程度のクリーントーンが確保できるアンプを探してみました。本番で使うことを想定せず、個人練習用に特化して、サイズと軽さと音質が条件になります。
BLACKSTAR「Fly 3」Bluetooth
入力:1 Guitar Input + MP3/Line In
コントロール:Gain, OD (Overdrive), Volume, EQ, Digital Tape Delay, Delay Level, MP3/Line Input, Speaker Emulated Output & Headphones, Bluetooth Connectivity
チャンネル:(2CH)クリーン、オーバードライブ
W170mm x H126mm x D102mm、0.9kg、消費電力3W
cf. ¥12,400(bluetooth,ACコード付)、単体¥7,700(bluetooth無し)
→ amazon :BLACKSTAR「Fly 3」Bluetooth
・画期的な軽さ0.9kg
大きさの割にズッシリしている感じはありますが、ZT LunchBox Jr.の半分以下の重量。軽すぎると響きにも影響してくるでしょうし、チャチくない程度、許容範囲の音質となると、最低限の軽さなのかな、と思います。
小型のトートバック(メッセンジャーバック)なら両手が空く
・出力3W
カラオケルームで独り弾くには充分です。50Wや100Wは絶対に必要ない。
自宅練習などで使うもの(持ち運びしない前提)なら、50W以上のジャズギター向きアンプをオススメします。小さな音で鳴らすにしても、やはり音のハリとかに違いが出ますから。20〜30人規模なら、小さな本番にも使えるし。
手提げ袋に突っ込めて、気軽に持ち運べる軽さが、FLY3の最大のメリット。収納にも嵩張らず、コスパ良し。買い足す価値ありです。
・単三電池×6本でも駆動する
カラオケルームで使う場合、AC電源を使うので、乾電池を使う場面なんて無いと思ってました。公園など屋外で弾くならガットギターを選ぶだろうし。電池を入れっぱなしにしておくと、液漏れなど招いてトンデモナイことになりそうなので、乾電池(単三電池×6本)は通常抜いとけば良いかと。
ところがカラオケルームによって、AC電源を取りにくい店があるんです。備え付けのカラオケデッキを引っ張り出さないと、電源まで繋げないような。こんな時は「あって良かった電池駆動」ってなります。
■クリーントーンの歪みやビビリは?
主観や環境によっても変わってくるので、一概には言えませんが、カラオケルームで鳴らすアンプとしては、ビックリするくらいマトモな音が出ます。
・Gainツマミ、OD (Overdrive),スイッチ、Volumeツマミが付いていて、クリーントーンにも設計者のコダワリが感じられます。ZT LunchBox Jr.は音量を上げると歪んでしまうため、歪まない回路(スイッチで切替可)を増設する改造を加えて使っていますが、このアンプはその必要も無い。気が利いているなと思います。
・現状、ビビリはありません。小さいアンプにありがちな症状かと、最も心配していた点ですが、及第点です。アクティブなピックアップの場合は、また違ってくるのかもしれません。
・微かなノイズがありますが、JC120やZT LunchBox Jr.と同程度です。実用面では支障ないかと。
このシリーズには、他にベース用とアコースティック用のアンプがあります。太いゲージを張ったフルアコならば、ベース用が、より向いているのかもしれません。機会があれば弾き比べてレポートします。
■最後に(編集者から)
デジタル回路の進歩なのだと思いますが、こんな小さな駆体で、こんな立派な音が出るなんて。アンプやエフェクターの世界も地道に進化してますよね。私の場合、真空管への信奉心はスッカリ薄れてしまいました。
一応、ジャズテーマのサイトなので、あまりアンプやエフェクターのことは記事にしていませんが、ギター小僧の無駄なコダワリとして、道具遊びは大切にしたいですね。Fly 3のような練習環境改善をサポートしてくれる道具についても、今後も注目してゆきたいと思います。では。
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