教則本棚卸vol.9 菅野義孝さん 実践本

教則本棚卸シリーズ第9弾です。

教則本には、それぞれ執筆者の思いや独自の視点・工夫が詰め込まれています。読み比べることで、新たな発見があったり、新たなモチベーションをもらえたりします。

私にとっては、この連載記事を書くことで、お世話になった教材を掘り返し、読み返す機会をもらえます。でも、つい古い写真アルバムを見返してしまった時のように、ミイラ採りがミイラになってしまい、読み耽ってしまうことも。楽しく危険な作業です。

■ウロコの進化形?

今回の教則本は「目からウロコ」シリーズで有名な菅野義孝さんの最新刊。菅野さんの教則本はほぼ全て所有しているのですが(たぶん)、この本は、それらの集大成的な内容になっているように思います。

「菅野メソッドで学ぶ知識ゼロからのジャズギター」
著者:菅野義孝
仕様:A4変形判、128ページ
発行:リットーミュージック、2020/05/22
   単行本¥2,000+税(amazon)、電子版¥2,080(amazon)

菅野さんの教則本としては初めて「電子版」を購入しました。過去に、菅野さんの名著(緑本)をiPadで風呂読みしようと自炊(スキャニング)したところ、取り込む手間が尋常でなかったので、今回は割り切って電子版にしてみました。付録CDから音源を取り込む手間も省けます。

(追記2020/09/01)ダメです。やっぱり教則本は紙のほうが使い勝手が良い。書き込めないし、なんだか読む元気が出ない。風呂読みしてシワシワになってもいい。紙本をオススメします。勿体無い買い物しました。数日待てば自宅まで届けてくれる時代ですからね。嗚呼、紙本を買い足すかなあ。悔しいなあ。

■目次

(1)基礎知識を覚えよう
・アドリブの流れ
・循環コード進行
・基本フレーズの練習
・4つの流れと基本フレーズ
・コードワークの基本

(2)アドリブはじめの一歩
・「Fly me to the Moon」のコード進行に挑戦
・練習曲(Key=C)

(3)コード進行アナライズ
・ドミナントフレーズの使いこなし
・メジャーフレーズ
・マイナーフレーズ
・リディアンセブンス(1)
・2度セヴンスのLyd7フレーズ
・リディアンセブンス(2)
・b7度セブンスのLyd7フレーズ
・ディミニッシュ
・コード進行パターンのまとめ

(4)コード進行アナライズ(1Key=F)
・練習曲(Key=F)
・Fメジャーフレーズ
・マイナーフレーズ
・2度セブンス
・b7度セブンス

(5)スタンダード曲で実践
・「I’ll Close my Eyes」のコード進行に挑戦
・メジャーフレーズの使いこなし
・7度セブンス
・「Just Friends」のコード進行に挑戦
・簡単ドミントフレーズ
・「Days of Wine and Roses」のコード進行に挑戦
・フレーズと単語の解説

(6)ブルース
・ブルースに挑戦
・メジャーフレーズとドミナントフレーズを混ぜて

(7)この先の練習方法
・振り返ってみよう
・転調パターンを覚えよう
・裏コードと代理コードまとめ

■所感

・多くのプロギタリストが「初級者は欲張らず、厳選した解決フレーズに絞り、使い倒すこと。」と指導します。分かっているつもりでも、つい「アウト」とか「コンディミ」などの誘惑に流されがち。まずは基礎をシッカリ築いてから、発展にススムが鉄則です。その点、この本は、解決フレーズの数を絞り、セオリー通り、バランス良くレベルを上げてくれる構成になっています。

・ジャズらしく弾くためには、曲をアナライズする力(解析力)が必要です。とても重要な事項であるにも関わらず、意外に教則本ではスケールや解決フレーズ止まりで、曲全体の解析が疎かになりがち。この本では、曲の構造を見極め、解決や着地、転調、Lydb7やdimなど、曲に込められた作曲者の意図を読み、意識して歌うことを説いています。

・まずCキーの課題曲を通して、実践と理論を同時に理解できるように工夫されています。次にFキーの課題曲に応用。ジャズに適した解説ステップとなっています。

・Lyd7とdimの攻略で、ここまで実践的に掘り下げた教則本を見たことがありません。

■メソッド図を見ただけで目眩がきた方には、つまみ食いがオススメ

今回の最新刊は、菅野さんが「目からウロコ」シリーズや合宿で磨かれてきた教則ノウハウを、改めて集約・体系化、進化させた本になっています。

レベルを問わず、実践ノウハウを身につける意味で、役立つ本となっている反面、人によっては、アプローチ方法の違いや情報過多が原因で、腰引けてしまう方もいるかもしれません。

この本に限らず、教則本を使う際に気をつけたいのは「アレコレと手を出して、結果的に身につかない病」です。この本には、想像以上に幅広く奥深いことが書かれています。最初から欲張らず、自分が気になっている点、弱いと思っている点を見極め、単元ごとに確実にこなしていくことをオススメします。

さらに。ジャズギターにおいて、努力の積み重ね以外に進化の道はありません。しかし、無駄な努力は避けたいし、最小限に抑えたい。こうした体系化された教則本を、自分の課題や弱点の発見・克服に活用するのは有効な手段となります。

■この本を最大限に活かす秘技

菅野さんの本に限りませんが、新たに教則本を購入したものの、「読むだけで疲弊し、ギターで実践するところまで到達できない」「自分にはレベルが高すぎた」「意欲が続かない」など、途中で挫折した経験、少なからずありませんか?

ジャズギターの場合、やはり教則本だけに頼った独学より、指導者につき、1対1の形で導いてもらうのが早道です。課題の見極めから、最適な道筋を指南してもらい、ステップアップしていく方法が確実です。ただ、それには費用も時間もそれなりに掛かってしまいます。相性の良い講師との出会いも簡単ではありません。

そんな方に朗報があります。

この教則本の凄いところは、菅野さんが開催している「オンラインセミナー」テーマと、この本の単元が連動していること。

菅野さんのオンラインセミナーに参加すると、教則本に書かれていることがスルッと入ってくるのです。一度の受講で足りないと感じたら、同じテーマを複数回受講するのもオススメ。1対1の指導には敵いませんが、世界中の何処からでも気軽に、何度でもアクセスできる魅力は大きいです。

→ オンラインセミナー HP

ちなみにオンラインセミナーは少人数グループ制、かつ、ジャズギターのレッスン料としては破格のプライスとなっています。多忙な方なので、コロナ禍が鎮静化してきたら終了してしまうかもしれません。お早めに試してみては如何でしょうか?

■菅野さんにコメント寄せてもらいました(追記2020/08/07)

(新刊について)
要所要所にあるチェックリストも本書の大きな特徴です。大事なポイントを見落とさないように配慮しました。

(セミナーについて)
アドリブ山のお勧め登山ルートと、難所の攻略について、本書で詳細に解説していますので、独学でマスターすることができますが、ちょっと心細かったり、一日も早くマスターしたい人には、ジャズセミナーをお勧めします。

ジャズセは。ミナーでは、僕が案内人として一緒に登って、絶景ポイントや関連する様々な情報をその場で案内したり、難所に差し掛かったら、攻略のコツや、その人に合った必要なポイントをお伝えして、クリアできるまでサポートします。

■最後に

私の場合、変なクセがついてしまっていて、ジャズっぽい表現が出来ず苦心しています。この本は、そんな自分に欠けているものを補ってくれる、ヒント満載の教則本です。基本は、順番無視のつまみ食い。俯瞰視点で自分の演奏を見てみたり、新しいアプローチやヒントをもらったり。

教則本を買ったからといって、また読んだからといって、サクサクと自分の身になることは絶対にありません(キッパリ)。その点、教則本とオンラインセミナーをセットにした菅野さんの指導サービスは画期的です。吸収スピードを確実に上げてくれます。在宅の隙間時間を活用したい方にもオススメ。試してみる価値あります。

最後に。僭越ながら、今回の教則本に関しては少しだけ提案がありまして。表紙のデザインやコピー(宣伝文句)を、もう少し工夫できなかったのかなーと。確かにジャズギタリスト層の大部分を中高齢のオッサンが占めていることは否定しませんが、ターゲットに寄せすぎていないかと。内容には関係ない話です。スミマセン(笑)。では今回はそんなことで。

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