教則教材 棚卸 VOL.6 小沼ようすけさん 実践ビデオ

以前、インタビューに協力くださった、小沼ようすけさんの教則ビデオです。

小沼ようすけ流 ジャズギター「感性のまま自由に奏でるための12レッスン」
http://sonicacademy.jp/mm/online/onuma/
申し込みから1年間視聴可能、税抜き¥9800。安くはないので、価格に見合った内容かどうか気になりますよね。全12本なので、割ってみれば1レッスン¥1000もしないのですが、躊躇する気持ち分かります。
購入については下記を参考に検討いただくとして、プラス評価としては、ストリーミング形式で提供されていること。iPadを使って風呂で観ることが可能なので、ギター弾く時間を削ることもない。30分もパソコンやテレビに向き合うのは集中力がいりますが、コレならダラダラ湯船に浸かっての視聴が可能。素敵な世の中です。
私が購入したのが10月頃なので、はや2ケ月以上経ってますが、ペース的には年に全12本×2-3回くらいは視聴できそうな気がします。教則素材は時間をおいて見直すと、新しい発見がありますからね。
 
■肝心の中身について。
この教材は「何を感じ、どうしようと思ったか? どのようにテーマのメロディーやアドリブを組み立てたか?」をテーマに構成されています。テーマが抽象的なので、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、理論に束縛されて身動きとれなくなっているジャズギタリストには、とてもとても切実な話。よく語られるテーマながら、ここまで掘り下げた教材は見たことがありません。
また、全編通して楽曲「Someday My Prince will Come」を題材に解説されています。ご存知の方多いと思いますが、シンプルなコード進行とメロディで、普通はスローテンポで演奏される美しい曲。手ごろな課題曲を設定することで、「感性と演奏」に焦点を絞って、習得して欲しいポイントが明確となるよう工夫がされています。
ダイジェスト映像
https://youtu.be/NeiKiCE5dk4
 
■講義カリキュラム
下記のような構成です。
LESSON1 ベーシック編1
*頭の中でコード進行が鳴っているようになること=アドリブの第一歩
・まずはコード弾き
・シンプルなテーマを弾く
・シンプルなテーマに対するシンプルなアドリブを弾く
・「シンプル×シンプル」パターンを少しずつ広げて行く
・コードトーンを意識して弾く
・ダイアトニックスケールに無い音がコードトーンに入っている場合、その音のみでコード感を出すことが出来る。
LESSON2 ベーシック編2
*コードについてポジション、フォーム、ヴォイシングの様々な可能性を探る
・メロディーとコードを同時に弾いてみる
・リズムに変化をつける、アルペジオを入れてみる
・コードを押さえてフリーになっている指で弾く
・ベースラインを意識して発想をつなげる方法
LESSON3 コード編
*基本の体感リズムを養うために頭の中でカウントする
・頭の中に3拍子が鳴っている状態をキープする
・フィンガーピッキングの特徴を生かす
・ベースラインに動きをつけてみる
・ウォーキングを取り入れる
・ベースラインの基本はトライアド。最初はルートと5thで。
・4/4拍子で弾いてみる
LESSON4 ルバート〜テクニック編
*最初のアイデア出しはルバートを基調に構築している
*楽曲に対する信念に基づいてイメージを探ろう
・テンポを決めず趣くままに弾く
・フレーズ(テーマのメロディー中)が止まったポイントがアドリブの肝
・フレーズとフレーズをつなぎ合わせる
・メロディーが先に流れ、そのあとにコードを鳴らす
・流れるようにメロディーを歌わせる~浮き出たせることが重要
・ハーモニクス使用方法の数々
・実音とハーモニクスをMIXしてフレーズを作る
・半音下からのアプローチ
・スケールと分散和音の組み合わせ
・メロディーの跳躍をもとにダイナミクスを付けてみる
・音色を変えるテクニック
・奏法スタイルの説明
LESSON5 ハーモニー編
*瞬間瞬間で生み出して来たモノを積み上げて自分のストックにする
・代理コードの応用
・トゥファイブを作り出す
・メロディー音でステイするコードを探してみる
・アイデアをストックしておく、いつも使える状態にしておく
・想定外の音もJAZZの醍醐味、果敢に取り上げアドリブへ導く
・アウトフレーズと言っても弾き手の中ではインサイドだったりする
LESSON6 デイリートレーニング編
*アイデアが浮かんだら、「練習=ストックの実用性」へつなげる
・JAZZとの付き合い方、毎日のトレーニング方法
・苦手なことをひたすら練習する
・ひたすらグルーブして遊ぶ
・ひとつのリズムパターンを見つけたら体にしみ込むまで練習する
・コードバッキングにペンタトニックを入れてみる
・アドリブをレベルアップさせるために練習を重ねることはRPGゲームのような感覚
・例1)コードでドレミファを弾いてみる
・例2)ドミナントアプローチ、ディミニッシュアプローチ
LESSON7 ベーシック編 Session with Kai Petite
アンサンブルは、やりとりの気持ちこそがベーシックとなっている
・シンプルにメロディーとハーモニーを弾いてみる
・音で会話することこそアンサンブルです
・メロディーをダイナミックに弾いてみる
・アイデア1:溜める、半音で動くなど
・相手のメロディーに対してアプローチしてみる
・コードで対応、分散アルペジオで対応、スケールで対応する
・メロディーラインを追従することに専念してみる手法
・TIPS1:指板を把握していることの重要性
・TIPS2:思い浮かんだことを指板へ対応出来る能力を養う
・TIPS3:聴いたり、話したり、音の会話と言葉の会話は同じ
LESSON8コード 編 Session with Kai Petite
自分なりの解釈を自由に、そして積極的に取り込んでみよう
・どういうことを今プレイしたのか? 実際に解説してみよう
・コードが移動するようにアルペジオで対応してみる
・コードアルペジオを切り出して短いフレーズをストックする
・どんな音がアタマの中に浮かびますか?
・自分なりのコード進行を作ってみる
・最小の動きでコード感を出すトレーニングをする
・コードを鳴らして合う音を想像したり、歌ってみる
・TIPS: 流れの中で自分の解釈を割り込んでみる
LESSON9 リズム編 Session with Kai Petite
リズムが体感へ入れば、ジャズアドリブはどこへでも行ける
・体感のリズムを共有する
・様々なメロディーの弾き方
・フラットなニュアンスからスウィング感を強調してみる
・リズムで立体的に表現する方法
・メロディーがバウンスしている場合のバッキングバリエーション
・リズムを内側で感じながらも、あえてオモテに出さずにプレイする場合もある
・休符をしっか歌うとは・・・
・TIPS:グルーブを出すには呼吸が関係している
LESSON10  アドリブ応用編  Session with Kai Petite
〜様々なテクニックを取得し、リズム 、ハーモニー、指板を理解した先に見えてくるもの〜
セッションを積み重ねることで、アイデアをストックしている
・リズムのアプローチ、フレーズのアプローチ、コード進行のアプローチ
・信頼できるミュージシャンと音を重ね合わせてみよう
・たまには予想も出来ないアプローチをしかける
・リカバー出来ないこともある、セッションの醍醐味
・イメージを追求しよう→ストーリーを想像することによって弾き方が変わる
・16beatがベースの3拍子、グアドループの民族リズムに変えてみたらどうなるか
・お互い持っているアイデアを交換してトライしてみる
LESSON 11 イントロを中心にした展開編   Session with Kai Petite
イントロの着眼点にこだわろう
イントロの作り方で世界観が生まれ、楽曲の扉が開いて行く
・イントロの重要性
・間奏やエンディングもイントロの仲間
・リズムパターンを短いモチーフとして提示してみる
・コードは違っても楽曲の雰囲気はイメージし続ける
・違うKeyから始めてみる
・転調の手法としてツーファイブを使ってみる
・TIPS1:イントロからアイデアが始まる
・TIPS2:2人でディスカッションしてプレイする
LESSON12  ジャズギタリストへの道~トレーニング編  Session with Kai Petite
自分が思うままに表現すれば世界で一つだけのものになる、そこに気付くことが一番大切
・奇跡の一回が忘れられず、そこが原動力となって今につながる
・自分の経験を通して、音を伝えられるようになった
・挫折とのたたかいを繰り返し、いまインスピレーションへ変えて行けるようになった
・自分なりの解釈、表現をすれば世界でひとつだけのものになる
▼僕たちのトレーニング方法を紹介
1 曲を覚える、コードルートを覚える、3度7度を覚える、唄えるようにする
2 ス―パースローなテンポでメトロノーム練習=強い軸ができる
3 音と音の空間に注目し、鳴ってない空間をイマジネーションする
4 エネルギーを体感する、たくさん感動することが大切
5 基礎練習で終わらせない、手にしみ込ませること
6 自分で気付くことを、日々増やしていくことが大切
 
■感想
セッションに行くと「♩=250は弾けるようにならないと」なんて言われます。余裕をもった演奏をするために、スピードに慣れていくことは、とてもとても大切ですが、スピードを早くすることや対応出来ることが目的ではない。歌うことが疎かになってしまっては本末転倒です。
実際、私自身は余裕がなくなってくると、手グセで弾いてしまうことがしばしば。今回のような教材、また感性を大切にしている方の演奏を聴くと、「こりゃイカン、イカン」と原点に戻ることが出来ます。
フレーズにしても、コンピングにしても、感性趣くままままに、丁寧に繰り出せるよう、これからも研鑽してゆきたいですね。
 
■(参考)小沼ようすけ (Jazz Guitarist) プロフィール

2001年にSONY MUSICよりデビュー、10年間在籍。現在までにSONY他から10枚のリーダー作品をリリース。2004年のカメルーン出身のベーシストリチャード・ボナとのレコーディングを契機に、独自の方法論による指弾きスタイルを確立。ここ数年は様々な国を旅して得た影響、ワールドミュージック要素を自分の音楽に採り入れながら、世界を繋ぐ創作活動を続ける。
2010年フレンチカリビアンのミュージシャンとレコーディングした「Jam Ka」発売。
グアドループの民族音楽グオッカの太鼓(ka)がフィーチャーされたこの作品で独自の世界感を展開。同年にBLUE NOTE NY & TOKYOでリリースライヴをおこなう。
2014年、ワールドジャズをテーマに「GNJ」を発表。
リーダー作以外のコラボレーション、セッションにも積極的に取り組み「トニーモナコ、小沼ようすけ&ジーンジャクソン」名義で活動するストレート・アヘッド・ジャズに現代性を加味したオルガンジャズトリオも高い評価を得ている。
2016年、Flyway LABELを設立。第一弾作品としてパリで録音された「Jam Ka」の続編、 「Jam Ka Deux」をリリース。2017年にはレコーディングメンバーにてSUNSET SUNSIDE (Paris), BLUE NOTE TOKYOなどでライブをおこなう。
GIBSON社、La Bella社エンドースメント・アーティスト。
エレキギターの他にナイロン弦アコースティックギターも使用する。
・official web site
www.YosukeOnuma.com
・Facebook
facebook.com/yosukeonuma.official
・instagram
https://www.instagram.com/yosukeonuma_official/

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