全ての電気ギタリストは、ペダル(エフェクター)やギターアンプ用に、AC電源を確保しなければなりません。しかし電源由来のノイズまで気を配るのは、正直、面倒だなあ、というのが本音ではないでしょうか。
また、スタジオリハ中に、ギターアンプから人の声(トラックの無線)が聞こえてきた体験があります。別のギターに持ち変えたら聞こえなくなったため、この時はピックアップに起因していた可能性が高いのですが(詳細は記事中で解説)、こうした様々な機器が拾ってくるノイズもあります。
今回は、電源や機器に由来するノイズについて考えます。
◼️電源コードが拾うノイズ
コンセントからボード(エフェクター)までの電源コードが、ノイズを拾ってしまうことがあります。有名な国産メーカーの電源コードだから安心というものでもありません。オーディオ用やパソコン用の、ノイズ対策を謳った電源コード・電源タップであれば、安心度が増します。
◼️コンセントの先から来るノイズ
コンセントの先からくるノイズは、主に、家電製品やACアダプターで発生するスイッチングが電流に乗って流れてくるものらしいです。
ノイズ対策を謳っている電源コード「Furman SS-6B」を買ってみました。リハに合わせて実験気分でスタジオに持ち込んだのですが、あまりにFurman SS-6Bは重すぎた。折角、奮発して購入したのに、今はお蔵入りしています(追記:結局、ヤフオクに出しました)。
「Furman SS-6B」
http://www.electroharmonix.co.jp/furman/ss6b.htm
試したことはないのですが、オーディオ用として、電源ノイズフィルターというモノも売られています。電源由来のノイズを、電気的な回路フィルターでカットする訳です。画期的なように思えたのですが、現場に持ち込むには、これもデカ過ぎました。興味ある方は調べてみてください。
◼️ギターアンプから人の声が聞こえてくたら(何かの呪いではない場合)
ギターアンプから人の声が聞こえてきた際に、その原因について、Yahoo!知恵袋で質問させていただいたところ、ハイパーサウンドさんからアドバイスをいただきました。とても丁寧で分かり易かった。ハイパーサウンドさん、改めて御礼申し上げます。
————– 以下、ハイパーサウンドさんから頂いたアドバイス————-
(A)ワイヤレス機器が拾う
「エレキギター用ワイヤレス機器をお使いの場合、隣で使っている電波が飛び込んでくることがあります。チャンネルを変えるとたぶん解消します。隣で使っているのがワイヤレスマイク、楽器用ワイヤレス機器、ワイヤレスインカム、ワイヤレスインナーイヤーモニター、ワイヤレスヘッドホンなどでも発生します。となりでつかっているワイヤレス機器の変調がデジタルであれば、チャンネルがあっていればはっきりと音声として聴こえ、あっていなければ一般的にザーというノイズで歌声には聞こえません。周波数がちょっとずれていても歌声が聞こえるのはアナログ変調の場合です」
(B)ギターのピックアップが拾う
「隣で使っているスピーカーからの磁力線が、あなたの機器に音声電圧を生じさせていることがあります。とくにエレキギターのピックアップ。シングルコイルのものなどでは、極端に強く出ることもあります。隣室からエレキギターのみを遠ざけたり、エレキギターを回転させて、ピックアップコイルの向きが変ると、音量が変ることがありますので分かります」
(B’)ケーブルのループが拾う
「前項の(B)の部類に入るものですが、エフェクターを多用していて、ケーブルがループを描いているところが多い場合には、エフェクター間のケーブルや、エフェクターボードのパワーサプライからの電源線とエフェクター間の信号線とで描く輪の中を鎖交する磁力線が影響することもあります」
「もし、ギターからギターアンプに直結した場合には発生せず、エフェクターボードをつないだ場合に発生する場合には、エフェクターボードの上に一枚紙か何かを置いて、その上にアルミシートを拡げてください。ケーブルをすっぽり覆うようにするわけです。そうすると、ケーブルを鎖交する磁力線は、アルミシートに渦電流を発生させ、その渦電流による磁力線と打ち消し合いますから、かなりトラブルが解消できます。とくに、4ケーブルメソッドなどをやっていたら、ちょっとした磁力線が悪影響を及ぼすということは日常茶飯事です」
(編集者注)4 ケーブルメソッド:マルチエフェクターと4本のケーブルを使うことから呼ばれる方式。ダイナミクスやフィルター、歪み系のペダルがアンプの前に、空間系のペダルがアンプの後にくるよう、アンプのエフェクトループを活用し、マルチエフェクターとギターアンプを接続。それぞれのペダル特性を活かす。
(C)機器が拾う
「隣で使っている機器からの不要な電波漏れがある場合。あなたの機器に高周波が重畳し、半導体のPN接合部で検波されて、AMラジオのようになって音声が出ることがあります。また、隣室のワイヤレスマイクがFM変調の場合、聴きとりやすい音声はなりにくいのですが、あなたの機器の中に、その周波数と少しずれた周波数で共振する回路があれば、音声っぽい信号で聞こえることがあります。条件次第ですが、かなり対策は困難です。」
(D)電源が拾う
「電源に音声信号が入っても、よほどの大電力でなければあなたのシステムで音声になることはありません。電源を通して、高周波を変調した信号が流れてきた場合にだけ発生する現象です。ですから、電源用の高周波ノイズフィルターで簡単に除去できます。簡単に除去できなかったら、(A)~(C) と考えた方が良いと思います。」
◼️最後に(編集者から)
往々にして、電源やピックアップに由来するノイズは、自宅では大丈夫だったのに、スタジオで鳴らしたら酷かった、という形で発覚します。なかなかそこまで気が配れない領域かと思うので、最低限の対応は行っておき、いざノイズが出たら、原因の可能性や対策を知っておくことかなと思います。
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