デジタル音源❶音楽を大切に聴く時間

我が家には、大型スピーカーを含むピュアオーディオのシステムが組んであります。購入当時は、日本のオーディオ業界も活気があり、点在するレコード屋さんを巡って音源を発掘するのが楽しみな時代でした。

それから時も経ち、オーディオシステムを通して音楽を聴く機会が滅法減りました。システムがインターネットに繋がっておらず、ネットワークオーディオプレーヤーやストレージが組み込まれていないことが最大の要因です。そのため新しいCDを仕入れたり、JAZZ専門の中古CD屋さんで宝物発掘できた時以外は、主にiPadやiPhoneで、デジタル音源を聴取する形になっています。

タブレットやスマホを通して、世界中の無数の音源に容易にアクセスでき、場所を選ばず(お風呂でも!)再生できる。私がギター始めた頃から考えると、もはやSFの世界です。そんなことで今回、「デジタル音源」をテーマに、探索をしてみることにしました。情報を集めているうちに、興味範囲が拡がってしまったので、4回に分けての連載です。

初回は専用プレーヤー(デジタル・オーディオ・プレーヤー)を使ってみての感想を。本記事後半では、ソニー株式会社の方にインタビューし、ご紹介しています。

◼️音楽専用プレーヤーに期待するところ

MP3プレーヤーを使わなくなり、スマホやiPadに頼るようになって久しいです。改めて音楽専用プレーヤー(デジタル・オーディオ・プレーヤー)への期待を列挙してみます。

・大掛かりなオーディオシステムを組まなくても、高音質な音楽を気軽に入手し、場所を選ばず楽しむことが出来る。かつてオーディオに投資した身としては、楽しみな反面、ちょっと寂しさも感じるところ。

・iPhoneやiPadでは、単体でハイレゾ音源を再生できない。また、有線のイヤホンやヘッドホンを使いたいのに、最近のiPhoneではジャックもなくなってしまい、無線(Bluetooth)仕様のイヤホンに限定される。

・専用プレーヤーなら、スマホの電源容量や通信容量を脅かす心配がない。

・高音質音源は、ファイルサイズがとても大きい(※)。独立した専用プレーヤーなら、ダウンロードしても、スマホの残容量を心配しなくて済む。

※3分間の曲で使用するデータ量目安として、標準フォーマットで1.5MB、高音質フォーマットで145MB。100倍のデータ量差がある(apple music情報)。

◼️高音質再生に期待するところ

iPadやiPhoneは単体ではハイレゾ音源を再生できません。またハイレゾに対応するイヤホンやヘッドホンが必要です。そんなことで、そこまで高音質な音源を聴取する機会がありませんでした。より高音質な音源に、自分が何を期待しているのか、列挙してみました。

・改めて、演奏の細かい表現ニュアンスを聴き取ってみる。きっと聴き落としていた部分の新しい発見があるはず。

・ライブ演奏音源では、より生々しい感じが伝わってきて、ワクワク度も増すはず。

◼️借りてみた

本当に久しぶりの音楽専用プレーヤーだったので、高スペック・高価格なモノよりは、エントリー機的なモノを試したいなあ、と思っていたところ、知人よりソニーのウォークマン「NW-A306」とヘッドホンを借りることが出来ました。

発売間もない機種ということもあり、関連記事も沢山アップされている様子。素人がギコチなくスペックの解説をしなくて済みそうです。

「NW-A300シリーズ 主な仕様」

スペックだけ見てもピンとこない方は、下記開発者インタビューをご覧ください。回路基盤、バッテリ、アンプ、ボディ内部形状など、歴史あるソニーのウォークマンで培われた技術が随所に生かされ、こだわりの音質優先の設計であることが伺えます。

「NW-A300シリーズ」開発者インタビュー

◼️触ってみた

知人からNW-A306を借用させてもらえたのは2週間。充分に使い倒せた訳ではありませんが、楽しい時間となりました。

・小さいです。胸ポケットにも自然に収まる感じ。元々、有線イヤホン派なので、服装に合わせて収めることが出来るのは有難いです。

・NW-A300シリーズのOSはAndroid。私は予備機としてAndroidスマホを持っているため、ストレスなく使うことができました。iPhoneユーザーだと、最初ちょっと戸惑うかもしれません(直ぐに慣れると思います)。

・注意事項として、ハイレゾストリーミングを聴きたい場合、設定でONにして再起動しないといけません。最初、ハイレゾ音源を聴いたときに、音質の変化が感じられず、戸惑ってしまいました。

(写真)NW-A300「設定」にて
(写真)アプリ内「ストリーミング設定」

・駆体デザインは気を衒いすぎることもなく、良いバランスでまとめていると思います。専用のプラスチックのケースを付けてみたのですが、もうちょっとツルッとした質感が欲しいところ。専用ケースは他にも種類があるようなので、各自お好みで。

◼️持ち出す+家でジックリ

・まず使うには、高速Wi-Fi環境が前提となるでしょう。パソコン経由でネットワークに繋げば使えないこともないですが、商品の機能を生かしきれないはず。

・外に持ち出す前に、何を落としていこうかなーと気軽に出し入れができるのが楽しい。私は、休日の朝、柴犬と散歩するのですが、音楽を聴きながらの朝散歩を満喫しました。

・屋外に持ち出した場合に、周囲の音が気になってしまうかも?なんてことを懸念していたのですが、町がそろそろ起き始める、静かな朝の時間帯では、そんな心配も無用でした。

・自宅では、ヘッドホンを使い、より高音質なストリーミングを楽しめました(外出時に使うイヤホンはハイレゾ対応でなかったので)。ただ、ハイレゾレベルまでの音質が必要なのかは、時と場合に拠るかも。

・うちは光回線を引いてあるのですが、ストリーミングを聴いている際に、ごく稀に再生が滞ることがありました。機器ではなく回線の問題です。折角、集中したいのに、残念な気持ちになってしまいます。じっくり聴きたい音源については、音質や安定性を考えて「静かな自宅で」「音源をダウンロードして」「高音質対応ヘッドホンで」「集中して聴ける時間を作って」聴くのが、正しいお作法かもしれません。ながら聴取は勿体ない。

・スタジオ収録よりライブ音源のほうが、高音質効果が高く、躍動感あって楽しいような。気のせいかしら。
 
◼️ ソニーさんに聞く

折角なので、ソニーさんに、NW-A300シリーズのこと、お聞きしてみました。ソニーさん、インタビューご協力ありがとうございます。

Q:ハイレゾ対応ポータブルDAPの中で、ソニーさんのNW-A300シリーズは、どういったポジションになるのでしょうか。

「NW-A300 シリーズはストリーミング対応ハイレゾウォークマンのコンパクトモデル。音楽専用機ならではの高音質技術を搭載し、特に音楽熱量の高い層をターゲットに『高音質で音楽を楽しむこと』の体験価値をお届けできる商品です。」

「日ごろスマホで聴いている音楽やあらゆる音源を高音質にどこでも手軽に持ち運べることを伝え、ウォークマンを普及させていくプロモーションの中心モデルとなります。」

Q:ネットワークの発達によって、手軽に音楽を聴ける環境が整うと同時に、気軽に高音質な音源も入手できるようになりました。昨今のリスナーの変化、また今後の展望、どのように捉えていらっしゃいますか?

「ストリーミングサービスやダウンロード、CDなどさまざまな形で音楽を視聴されていると認識しており、お客様の好きな環境でお楽しみいただきたいと考えていますが、より良い環境で聴いていただけるとその作品に込められたアーティストの想いをより多く受け取れるのではないかと思います。」

「ストリーミングサービスでロスレス、ハイレゾでの配信が行われるようになり、配信される楽曲が高音質になることで、音楽再生専用機であるウォークマンの音質の良さを体感していただいています。実際、ウォークマンをご愛用いただいている方は高音質を求める傾向があり、ダウンロード音源やCD音源での再生をお楽しみいただいているお客様も多い状況です。」

「今後のウォークマンの具体的な展開については回答を差し控えさせていただければと存じますが、いつでもどこでも好きな音楽を楽しく聴くというベーシックなところは継続して、新たな技術開発に取り組めればと思っています。さらに再生機器が進化することで、アーティストさんの音作りや制作への想いにいくばくかの影響を与えられ、音楽の魅力を広げることに貢献できればと願っています。」

◼️保有する大量CDを取り込めたら。。

以前から、自宅のCDを全部データ化できたら良いのに、と思っていました。何百枚もCDをストックしていても、データベースを作っていないので、曲名から辿るような検索が難しいのです。デジタル化してストレージにストックしておけたら、使い勝手が飛躍的に向上するはずなのに。

パソコンを通してCDを取り込む作業には、手間も時間もかかるため、大量のCDの前には、着手する気力が起きません。そして多くのCDは、アルバムの情報を自分で探してきて、手入力(コピペ)しなければならない。哀しいかな、こうした取り込む面倒をかけるくらいなら、デジタル音源で聴いたほうが手っ取り早い。

世界的にストリーミングサービスへの転換が進むなか、この先、CDはどんな形で共存していくのでしょうか。世の中の行く末は分かりませんが、時間を掛けて収集したウチのCD達は、私の歩んできた音楽道の軌跡みたいなものなので、時々大きなスピーカーを小さく鳴らして、聴くようにしたいと思います。

◼️最後に(編集者から)

ウォークマンは、カセットテープの時代からお世話になってきたプレーヤー。時代と共にメディアのカタチは変われど、長い歴史の中で綿々と培ってきたソニーさんのノウハウは凄まじい。我らがソニーさんには、これからも世界の先頭を突き進んで欲しいですね。

知人からソニーのNW-A306とヘッドホンを借りたのは2週間ほどでしたが、進化していたウォークマンの魅力、高音質な音源の魅力を、感じ取ることができました。ギター買ったばかりで箪笥貯金が底をついてしまい、今回は自費調達が出来ませんでしたが、いづれ入手したいなあ。皆さんにもオススメです。

そして今回、重要なことを再認識しました。つい「演奏力向上のための素材探し」に陥っていた最近の聴取姿勢を悔い改め、「じっくりと作品を聴く時間」を作る。そのための高音質音源が聴ける環境を整える。そうした時間価値の再認識のほうが、音質云々より、私にとっては意味がありました。

4回連載「デジタル音源」の第1弾は以上になります。続く記事もお目通し頂けたら幸いです。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

twitterにて記事の新着をお知らせしています。https://twitter.com/jazzguitarnote

■(参考)ソニー NW-A300シリーズ(HPから)

この記事は案件企画ではありませんが、特徴を文字で長々と書くよりは分かりやすいと思ったので、カット絵を転載しておきます。

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