達人に聞く vol.14 井上智さん

ジム・ホールさんと言えば、ジャズを触っているギタリストで、知らない方はいないであろう達人中の達人。今回の「達人に聞く」は、そのジム・ホールさんに最も近い日本人、井上智(さとし)さんです。

井上さんは、京都でプロ仕事を10年された後、ニューヨークに渡米。ニュースクール大学ジャズ科でジム・ホールに師事された後、彼の後を継ぐ形で教鞭をとられました。10年前に 、21年いたニューヨークより帰国。ライブや後輩育成など、最前線でご活躍中です。

JimHallさんと井上智さん

ニューヨークで21年活動と聞くと、難解なスタイルを想像してしまうかもしれませんが、井上さんご自身の演奏は歌心たっぷり情緒たっぷりのギター。日本的というか関西的な味も感じられます。

では、いつもの質問です。井上智さん、宜しくお願いします。

◼️始められない時、集中できない時の切り札は?

ギターの練習に集中できないときというのは確かにありますね。そんなときの切り札をリストにしてみます。

1.新しい弦のセットに交換してみる。

2.ピックを変えてみる。(指弾きに変えてみる)

3.スキャットしながら弾いてみる。

4.好きなミュージシャンの名前を念仏のように何回も唱える。

5.あきらめてリスニングタイムにする

◼️理論を実践に昇華させるには?

私にとってど真ん中のトピックです。
慶応大学日吉と都内のBFジャズスクールで「理論」講座を教えてるからです。

実際のプレイで「理論」をどう応用するか、またそのためにどんな練習が効果的か、などにポイントを置いております。体で理解するために足でリズムを取りながら声に出して歌ってもらうことも多く、そして各々の楽器で音を確認しながら進めていきます。

このやり方はバリー・ハリス(piano)のジャズワークショップから多くのヒントを得たものであります。

◼️いまの自分を乗り越えるコツは?

自分の実力より少し高めの目標を作って、そこに自分を追い詰める。

今の私の場合、過去にあまりやってこなかったソロ・ジャズギターにチャレンジしようと思ってます。そしてギグがあると頑張るのでまずはブッキングをしました。練習して今の自分を乗り越えたいですね。

◼️井上智(さとし)さんプロフィール

ギタリスト/コンポーザー

神戸市出身。関西のジャズ・シーンで活躍後、1989年にニューヨークに渡る。ニュースクール 大学ジャズ科でジム・ホールに、ニューヨーク市立大学でロン・ カーターに学ぶ。ブルーノート、バードランド、スモーク、スモールズ、ジンク・バー、ヴィレッジ・ゲイトなど有名ジャズクラブに自己のバンドで出演、高い音楽性と実力が評価される。

リーダー・アルバムは「9 Songs」など9枚を発表。またサイドマンとしてはジュニア・マンス、フランク・フォスター、バリー・ハリス、ジミー・ヒース、ジェイムス・ムーディー、ロン・カーター、穐吉敏子、ジャック・マクダフ、グラディ・テイト、ベニー・グリーン等多くのトップ・ミュージシャンとのツアーを経験。ジャズクラブの老舗ヴィレッジ・ヴァンガードの70周年記念にはジム・ホールと井上のデュオが出演。

2010年に21年間のニューヨーク滞在にピリオドを打ち帰国、同年にNHK BSの1時間番組「NY Music Love 井上 智」が放映され話題を呼ぶ。井上の「よく歌うギター」は定評があり、東京を拠点に精力的に活動し、新しいファンを増やしつつある。
演奏活動の傍ら、ジャズ教育も精力的に行ってきた。1994年から16年にわたってニュースクール大学ジャズ科で講師を務めた。現在、慶應大学と国立音大でジャズクラスを持っている。

「サトシは 即興演奏に伴奏に 才能の閃きをしめし注目される。」 アイラ・ギトラー(ジャズ評論家)
「サトシは 鋭い想像力で音楽を創る優秀なジャズギタリストだ。」 ジム・ホール

ウエブサイト http://www.satoshiinoue.com

◼️最後に(編集者から)

集中できない時の対策リスト。「弦を張り替える」というのは説得力あります。必ず、そのあと、弾き込みたくなるので。「スキャットしながら」も斬新。歌いながら弾くことの大切さを思い出してくれそうです。

井上智さんの理論講座には、短期集中講座もあるようです。またリモート参加も受け付けていらっしゃる様子。リモートは生参加と比較すると集中力維持が心配ですが、ニューヨーク仕込みの理論講義、私も受講したいです。

いつか、ニューヨークでのセッションに飛び込み参加できるよう、私も腕を磨きたいと思います。井上智さん、お忙しいところ、インタビューご協力ありがとうございました。

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