なんと10ケ月ぶりの「達人に聞く」連載記事です。横着していた訳ではなく、コロナ禍の煽りで、ギタリストにお会いしたり、生ライブを聴く機会が滅法減ってしまい、私の中でスイッチが入りませんでした。
今回、在宅GW中にジャズギター関連サイトを探索していて、独特の世界観とともにYouTube動画をアップされていた小暮哲也さんを発見、インタビューを申し込みました。
では、いつもの質問です。
■始められない時、集中できない時の切り札
いくら好きなことをしていても、長く続けていれば、気分が乗らなくて始められなかったり、集中できないかったりすることはあると思います。
そんな時の切り札は… いきなり結論ですが、弾かなければいけない状況にしてしまうのが手っ取り早いです。例えば、弾くのを仕事にしてしまうとか、無理やりライブを入れるとか、ギターだけ持って山籠りとか?(笑) 特にドMの方たちには、効果絶大かもしれませんね(笑)。
でも、自分を追い込むと僕の場合は辛くなっちゃう。
音楽は、心が感じたものを音に表現するものだから、内側から湧き上がる情熱を育てることの方が大切かなぁと思います。具体的には、良い音楽をたくさん聴いてライブを見に行ったりして感性をそだてる。感動を共有できる仲間も大切かなぁ。
なので、僕の場合は最後の切り札というのは無くて、なるべく情熱を育て、モチベーションを上げることを第一に考えます。
■理論を実践に昇華させるには?
結論から言えば、その理論を使って出来た良い音楽を、聴きまくってコピーして毎日弾いてればいいんじゃないですかね(笑)
自分は、理論を良い音楽を作るための完全マニュアルだと思ったことは一度もありません。なので基本的に、理論を実践に昇華させることを考えたりしないんですよ。YouTubeのレッスン動画では、みんなが理論の話が好きなのを知っているので、それとなく話してますけどね(笑)
そもそも理論と良い音楽が、どのように結びついているが理解出来ないと、その部分だけ不自然になります。それは、単に弾けているというだけでつまらないものになると思います。
僕の場合、理論を昇華させることを、あまり考えないみたいです。コピーなどしてそれを取り入れた結果、”どうやらこの理論や考え方と同じ事をしている”という発見が結構多い気がします。
■いまの自分を乗り越えるコツ(次にやるべきこと)
自分が良いと感じる音楽の質を高めて、なるべくクオリティーの高いものを作り出すことかなぁ。そして、それを繰り返す感じでしょうかね。
これらのコツを、誰か教えてください(笑)。
今までは自分のためだけに音楽をやってきましたが、今後はより多くの方にジャズギターの楽しさをお伝えできるような活動も、YouTubeを通じて出来たらと考えております。
■小暮哲也(こぐれ てつや)さんプロフィール
千葉県出身、1971年2月3日生まれ
14才のとき、ギターを始める。チャーリー・クリスチャン、ウエス・モンゴメリーやジョー・パス、ケニー・バレルなど偉大なジャズギタリストたちの演奏を聴き、その後グラントグリーンの音楽と出会いその歌心の魅力に惹かれていく。岡安芳明氏に師事。サラリーマンとして働く傍らギターをひたすら練習し千葉県、都内、横浜のジャズクラブやライブハウスを中心に修行。
2010.12.15ホワッツニューレコードより待望のリーダーアルバム”Am I blue?”発表!岡安芳明プロデュース。「確かなオリジナリティとあのフレーズが融合、和製グラント・グリーンがデビュー」(Jazz guitar book誌より)「グリーンのスタイルを受け継ぎブルージーなフレーズを迷うことなく正攻法にシングルトーンで歌い上げる。無駄な速弾きなどしないで一音一音じっくりと自分のフレーズで歌っているところが素晴らしく、ミディアムテンポのスウィング感は絶品」(Jazz life誌より)
2011.3.20 小暮哲也カルテットplus岡安芳明NHKセッション2011に出演。今、最も注目を集めるギタリストとして高い評価を得る。
2012 豪華客船飛鳥Ⅱで小暮哲也カルテット出演。
2013 モーションブルー横浜に小暮哲也カルテット出演。
豪華客船飛鳥Ⅱで小暮哲也カルテット台湾ツアー2度目の出演。
2014 モーションブルー横浜 小暮哲也トリオ出演。
現在、自己のジャズギタースクールで積極的に指導をしている。
ソロギターは、本千葉れすとらん邪夢にて毎月おこなっている
■最後に(編集者から)
数多いるプロギタリストの中から、小暮さんにインタビューをお願いした理由は、音楽への向き合いを、ご自身の経験から、ご自身の言葉で教えてくれそうだったから。
ギターにどうやって向き合っていくかは、十人十色で正解なんてありません。ゆえに、ジャンルやスタイルを越えて、考えていらっしゃること、大切にされていることをお聞きするのは楽しいし、為になる。小暮さん、突然のお願いにもかかわらず、ご協力ありがとうございました。
小暮さんが指摘されるように、また多くのプロギタリストが指摘するように、理論に(機材にも)寄り道しすぎて、音楽として大切なものを見失わないようにしないとですね。今回はこの辺りで。