手続きごとがあって、神奈川県の横浜から群馬県の前橋まで、泊まりで越境してきました。前橋は朝から快晴。朝、ホテル近くの繁華街を散歩しましたが、広い通りに人影もなく、不思議な時間が流れてたなあ。
今回、何十年ぶりかの前橋訪問でしたが、横浜まで電車で1本。乗り換えなしで帰れるのはありがたい。コロナが落ち着いたら、老舗のジャズクラブなど訪ねてみたいものです。
さて、教則本の棚卸。2回連続で、永井義朗さんの本を紹介します。まずは1冊目、アドリブ実践本。
トライアドで解き明かすジャズ・ギター・アドリブ
ビバップからコンテンポラリーまで完全対応!
著者:永井 義朗
仕様:A4変形判 、112ページ、CD付、¥2,200(税込)
出版:2019.08.17、リットーミュージック
amazon https://amzn.to/4atrNka
では早速、目次の確認から。
◼️目次
(1)トライアドの基礎
・トライアドと音程
・3種類のトライアドと転回
・ポジション・プレイの導入と水平/垂直トライアド
・3種類のトライアドでの水平トライアド・フォーム
・3種類のトライアドでの垂直トライアド・フォーム
・転回形での水平/垂直トライアド・フォーム
・レフト・フォームとライト・フォームについて
・トライアドの転回形を理解するための練習
・小さいトライアドへの変換
・アプローチ・ノートの挿入による度数把握の練習
・小さいトライアドの拡張
(2)トライアドの接続と代理
・ガイド・トーンの接続
・トライアドと7度音のキャラクター
・7度音の探し方
・代理コードの演出
・オリジナル・コードと代理コードの接続
・代理コードのアイデアの活用
(3)トライアドの発展
・オーグメント・トライアドの基本フォーム
・オーグメント・トライアドの活用
・メロディック・マイナー・スケールの表現
・ドミナント7コードにおける代理コードのバリエーション
・SUSトライアド
・SUSトライアドとペンタトニック
・ポリ・ペンタトニック・スケール
◼️所感
・私があれこれと書く前に、著者ご本人の解説動画をどーぞ。
https://youtu.be/jourwwXbpYk
・永井さんも動画中で語っていますが、ジャズにおいては、スケールの前に、コード構成音(和声音)に取り組むことが重要です。多くのジャズギター教則本でも、その点は大前提として語られていますが、何故か一般的なギターの教則本では、スケールが立ちすぎている感が否めません。
私は若い頃にスケールから入ってしまい、コード構成音の重要性に気づくまで、随分と長い間、勿体無い迷走の期間を過ごしました。この本は、その基本中の基本を、徹底的に掘り下げて、1冊に仕立たもの。ありそうでなかった、素敵な教則本だと思います。
・トライアドの形を、水平タイプと垂直タイプで説明しています。ギターは、同じ音を複数弦で出せる特徴から、どちらに指を運ぶかによって、フレーズも変化してゆきます。凡人の発想はここまで。トライアドのタイプを探求するあたり、永井さんらしい教則本かと。
・「コードトーンを、トライアド+7度音といった形に分解することで、コードトーンの繋がるための原理を知覚するのに役立つ」との解説。「原理」と言われると気になります。無意識領域を意識化してくれるのかも、という期待感。気になる方は、ぜひ購入して確かめてみてください。
・興味深かったのは「代理コードの演出」や「ドミナント7コードにおける代理コードのバリエーション」。美味しいテンション群を、代理コードとして捉えると、歌う感覚でフレーズに取り込みやすく、理論的にも腑に落ちる感じがして楽です。
・第3章で取り上げている「SUSトライアド」。オーグメント・トライアドと比較すると、一般的に、あまり取り上げられていない存在です。オーグメントやsus2/sus4といったトライアドは、合法的に浮遊感を表現できるので、もっと自然に弾けるようになりたい。
◼️最後に(編集者から)
理論は進化をサポートしてくれます。表現を深めたり拡げたり、先人の演奏を解釈し応用する手助けをしてくれるものだったり。
永井さんの凄いところは、自分のオリジナリティを突き詰めていく過程で、一般的な理論を越えて、独自のメソッドにまで昇華している点です。
そんな永井さんなので、YouTube動画を含むサロン運営も、かなり充実しています。教則本や動画を拝見すると、メソッドを導くまでに費やした、永井さんの探究にかけた時間や労力が膨大であることが伝わってきますね。
次回も永井さん教則本の棚卸になります。お楽しみに。
(参考)教則本 棚卸vol.17 永井義朗さんコード本
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