達人に聞く vol.11 佐津間純さん

5ケ月ぶりの「達人に聞く」インタビューです。人それぞれの考え方やアプローチが聞けて、私自身も楽しみにしている連載。ゆるりと再開してゆきたいと思います。

横浜・神奈川エリアは、ギタリストの層も厚く、市場を支える演奏場所やリスナー人口が多いのが特徴。現役演奏家志向の私にとっては嬉しい限りです。

今回取材にご協力くださった佐津間さんは、そんな横浜・神奈川エリアの若手演奏家群を牽引する存在。鎌倉出身、外見も演奏もシュッとしていて、正統派な感じ。お座敷のお声がけも多く、次代を担う存在かと。

では、いつもの質問です。

■始められない時、集中できない時の切り札は?

「無理に始めない…(笑)。自分の好きな音楽、憧れの音楽(レコード、CD、YouTubeなど)を聴いて自然とギターを弾きたい気持ちになるまで待つ。」

■理論を実践に昇華させるには?

「『実践を積み重ねてトライ&エラーを繰り返す事』それにつきると思います。」

「僕自身は理論から学んでそれを実践に生かそうということはあまりやったことがないんです。どちらかというと、理論は理論で学んでいてその他に実践的な部分(フィジカル的なテクニック、ジャズの巨匠のコピー、曲のコード進行やジャムセッションでの経験)を経て、いつの間にか別で学んでいた理論の部分が少しずつ『あっ!なるほど。そういう事だったのか♪』と気付いたという感じです。」

「おおざっぱに言うと”理論の道”と”実践の道”2つの道があって、それらを別々に一生懸命進んでいると少しずつ二つの道が近づいてやがて同じ道になってくるという感じでしょうか?どちらも大切ですが、個人的にはどちらかというと”実践の道”の方が大切だと思います。」

「人によっては、理論のすごく難しい言葉は知っているのに、実践で良い演奏ができないという方は実践の道をもう少し進めると良いかと思います。逆に実践で弾けるけど理論がイマイチという方、こちらは実践で弾けるなら別にそれでよいのでは?と思ってしまいます(笑)。」

「確かに先ほど言った二つの道を進むと理論の道の部分から実践のためのアイディアが生まれる事もあるかもしれません。でもそれが出来るということは少なくとも二つの道が近い状態にあるということが前提でどちらかがそこに至っていない状態ではそういうことは生まれにくいと思います。」

「良く英会話で例えるのですが、How are you?と聞かれて”アイムファイン”とめちゃくちゃ良い発音で答えられる。それでOKだと思うんです。”I’m fine”と文字で書けなくても、”I”が主語で、”am”がbe動詞で〜なんてことを知らなくても…会話が成立すれば良いかと思います。大切なことはHow are you?”という相手の質問を聞き取ってそれに対して”I’m fine”という言葉で答えるのだ!ということを知っている。そしてそれを良い発音で相手に伝えられれば良いのです。”Where are you from?”→”アイムフロムジャパン”…字が書けなくてもOK!会話は成立するんです。」

「ジャズも同じで”Dm7″と出て来たら何かジャズの素敵なフレーズを一つ覚えて、それを弾ければ良いのです♪それがドリアンスケールだ!とかメロディックマイナーを使おう!とか、そんなことはとりあえず分かっていなくても良いんです。ただそのフレーズを覚えようとする過程で必要な”ルートに対する度数”はすごく意識するべきだと思います。その理解の仕方もすべて楽譜などでというよりはギターの指板上で分かることがとても大切だと思います。」

■いまの自分を乗り越えるコツ(次にやるべきこと)は?

「ジャズの巨匠の演奏を聴くこと!それに尽きるかと思います。」

「ギターならチャーリークリスチャン、ケニーバレル、バーニーケッセル、ウェスモンゴメリー、ジムホールなど。ギター以外にも目を向けるべきで…デュークエリントン、マイルスデイビス、チャーリーパーカー、バドパウエル、セロニアスモンンク、ナットキングコール、フランクシナトラ、エラフィッツジェラルド、ビリーホリデイなどなど…」

「彼らの音楽を聴かずしてジャズは上手くなりません。全てを聴いたことがなかったとしても、少なくとも名前くらいは知っていると良いです。そこに全てのヒントが隠れていてそれらに少しずつ気付いていくことが喜びになりますし、次に進むべき(やるべき)ことを教えてくれると信じています。全部を一気に聴くことは難しいですから少しずつ自分の興味のあるものから選んで聴いてみると良いです。」

「私も未だに気が付かないことだらけです。それまで気付かなかったこと、聴こえなかった音が聴こえて来たときはとても嬉しいんです。そんなふうに日々を過ごせたら楽しいジャズギター生活が送れるのではないでしょうか?ぜひ皆さん楽しいジャズギター生活を送ってください!」

■佐津間 純


1982年10月24日神奈川県鎌倉生まれ。13歳でギターを始め土屋秀樹,道下和彦,岡安芳明に師事。洗足学園大学ジャズコース卒業。バークリー音楽大学卒業。2006年 ギブソンジャズギターコンテスト入賞。2009年 雑誌「ジャズギター」で若手ジ ャズギタリストの一人として紹介、インタビューが掲載される。2010年「佐津間純Trio」でモーションブルーヨコハマに初出演。2012年 第20回日本プロ録音賞ベストパフォーマンス賞受賞。2013年 デビューアルバム「JUMP FOR JOY」をリリース。2015年ベーシスト若林美佐とのデュオアルバム「Weaver Of Dreams」をリリース。2019年 映画”YUKIGUNI”において音楽を担当。現在、東京、神奈川を中心に全国 で積極的な演奏活動を展開している。ジャズギターの王道を行くプレイスタイルとその暖かく美しい音色は老若男女問わず受け入れられている。現在の日本のジャズシーンにおいて最も注目されている正統派ジャズギタリストの一人である。

【ウェブサイトやその他SNSなどのURL】
ホームページ■https://junsatsuma.com
YouTube■https://www.youtube.com/channel/UCfYHsH2sJ6lJxGzBhbrx1Ww
オンラインレッスン■https://junsatsuma.com/online-guitar-lesson-%e3%81%ae%e3%81%94%e6%a1%88%e5%86%85/
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■編集者から

「理論の道」と「実践の道」がある、という説明は、佐津間さんの足元にも及ばないまでも、苦労を重ねてきた身として納得感があります。実践ありきで、それを理論が助けてくれる感じ。つい頭デッカチになりがちなので、アドバイスが身に染みます。

「巨匠の演奏を聴くこと」という指摘は、さらに耳が痛い。ジャズギター病の中でも「音源や教則本を手に入れたことで安心してしまう病」は陥りやすい症状です。寄り道の第一歩は「大量の音源を聴き込むこと」(自戒も込めて)。ギターの演奏レベルが上がってくると、聴く耳のレベルも平行して上がってきて、同じ音源でも新しい発見があったりもする。大切なメッセージ、ありがとうございます。

そんなことで、久しぶりの「達人」インタビューは終了です。佐津間さん、ご協力ありがとうございました。

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