久しぶりですね、達人に聞くシリーズ。第10弾は高免信喜(たかめん のぶき)さんです。
まず寄り道的な話題から。
当たり前のことかもしれないのですが、私の場合、過去のジャズ界の偉人と同等に、いま活躍されているギタリストに興味があるんです。それも海外の著名ギタリストではなくて、現役日本人アーティストに。
自分と同じ時勢を生きている方が、どんなことを考え、どう音楽に向き合っているか、なんてことが、第一線の演奏家本人から聞けることが面白い。演奏家の思考や姿勢が反映された演奏を、生(なま)で聴けるのも贅沢な経験です。
そんな貴重な機会を、できるだけ観ておきたいと思い、1-2ケ月くらい前から行きたいライブをスケジュールにメモるのですが、時間・気力・体力・財布のどれかが足りず、ほとんど行けてないのが実情。月に1回行けたら良いくらいのテイタラクぶりなのは、明らかに私の気合い負けです。でも行けば、なんらかの収穫があるので、ライブ参加頻度を上げる努力は続けないとね。
あえて知らないギタリストのライブにも足を運びます。iPhoneに「日本人ジャズギタリスト」というメモを作成してあって、雑誌やホームページで良さげなギタリストを見かけたら、書き足しておくんです。どなたの推薦・紹介だったかは分かりませんが、今回の高免さんは、そのリストのお一人でした。
高免さんは、第1回「達人に聞く」でインタビューした森孝人さん同様、普段は米国で活動されているので、なかなか生でライブを観ることは出来ません。今年の夏、凱旋ライブを予定しているそうですし、YouTube教則映像のテーマ設定もユニークなので、ご興味ある方はチェックしてみてください。
さて、では本題に。いつもの質問です。
■始められない時、集中できない時の切り札は?
「なにかを始められないときは、ギターでもギターに関係ないことでもいいので、自分がそのとき一番やりたくないけどやろうと思えばできることをする。」
「練習中は常に集中力を高めるために、時間を決めて(終わりをはっきりさせて)取り組む。コンサートなどで集中できないときは、深呼吸するか、セットの合間にちゃんと休憩する。」
■理論を実践に昇華させるには?
「想像力を働かせて、自分なりのやり方を創造する。」
■いまの自分を乗り越えるコツ(次にやるべきこと)
「自分のことを誰よりも理解して、すべてを受け入れる。」
■(番外編)日本から世界を目指すジャズギター研鑽中の人たちにひとこと
「国によって習慣や文化は違いますが、日本人の国民性はどこにいっても受け入れられると思いますので、機会があればどんどん出ていってほしいと思います。」
「あとは、実際に行く前にその国の言語を習得しないまでも、しっかりと基礎を勉強しておくのも、訪れてくるチャンスを最大限に生かすために非常に大切だと思います。」
■高免信喜(たかめん のぶき)さん
http://jp.nobukitakamen.com/
1977年広島県広島市生まれ。桜美林大学を卒業後、2001年にアメリカに渡り、ボストンのバークリー音楽大学に入学。2004年に同大学を首席で卒業と同時に、活動の拠点をニューヨークに移す。以来、トリオ、ソロギター演奏をベースにグローバルな演奏活動を続ける。自己のグループでは、Iridium Jazz Club、Blue Note NY、Blues Alleyなどに出演し、世界最大級のモントリオール国際ジャズフェスティバル、そしてその他数多くのジャズフェスティバルからも招聘され出演する。ニューヨークを中心とした演奏活動に加え、北米やヨーロッパでのツアーも行い、2004年からは毎年日本ツアーも行っている。これまでにWhat’s New Records、Summit Recordsなどからオリジナル曲を中心とした7枚のリーダーアルバムを発表し、世界各国のメディアに取り上げられる。特に最新作『The Nobuki Takamen Trio』はオールアバウトジャズ誌で5つ星を獲得し、「これまでに日本が輩出した最高のジャズギタリストであることは間違いないだろう。」と絶賛される。演奏家としてだけでなく、全米のUSA Songwriting Competition 2019のインスト部門で第1位を獲得するなど、作曲家としても高い評価を得ている。演奏家/作曲家としてだけでなく、世界各地のジャズワークショップや学校訪問を行うなど教育面にも力を入れており、ギタリストを対象とした個人レッスン、通信レッスン、YouTubeなどでも積極的に情報を発信している。Acoustic Image社、Raezer’s Edge社、Eventide社、Sommer Cable、Reunion Blues エンドースメント・アーティスト。
■終わりに(発行人から)
最近はデジタルの普及で、物理的な国境だけでなく、精神的な国境も下がりました。「世界のあんなトコロに、こんな演奏家がいるぞ」ってことが個人レベルで容易に分かる。そして決意と行動力があれば、その世界に飛び込んでいくこともできます。
やっぱりジャズは生(なま)が面白い。自分のスタイルは、自分ひとりで創れるものでもなく、多様な人たちと接する中で磨かれていくものだとしたら、より多様な背景をもったミュージシャンからの刺激は、目に見えない財産になりそう。
演奏もさることながら、高免さんの目から見た日米の比較、また海外活動からの気づきやご苦労話をユックリ聞いてみたいですね。高免さん、お忙しいなか、インタビューご協力ありがとうございました。
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